クリスマスルンゼの暗い帰り道

1月19日に謎男・トコロで広河原沢右俣のクリスマスルンゼに行ってきました。朝6時に出発の日帰りです。

いつものように船山十字路に駐車して出発で

今回は昨晩名古屋からHMDさんが来ているはずで、我々より先についてロープを準備していてくれるはずです。なんと久々にノミッククラブがそろいます。二俣まではすたすたと歩き一息入れてから今回は右俣へ。

なめた氷が出てきました。雪が少なくしっかり凍ったなめがきれい

何回かここに入っていますが、今回のようにきれいに凍っているのは初めて。クリスマスルンゼもよい結氷になっているのでは、と期待させます。

いたくしばらく進むと凍った窯が出てきました。

謎男さんは、この情景にいたく感動していました。こんなのは他では見ることができないですよ、ということでした。この日、彼はカメラを忘れていたので私に写真を撮っておいてくださいというのでした。私、特に感動していたわけでもないのですが、写真に撮りました。「きれいじゃないですか、まるで鏡の表面のように滑らかに凍っています」と。ところで、私のカメラは冬場は数枚撮影すると大抵映らなくなります。彼はそのことを思い出していました。

鏡のように美しいノミック

続けざまに謎男さんは言います。見てくださいよ、このノミック、鏡のようにこの氷面のように美しいでしょう」す、すごい!そこには細くやすりをかけられた刃先が光り輝き、ペツルのロゴが銀色に金属光沢を放っていた。「写真にとっておいてくださいよ、電池がなくならないうちに」と言う。彼は器用かつ工作に詳しいので金属やすりで形を整え徐々に目を細かくしながら紙やすりをかけ最後には鏡面仕上げまで行った。「トコロさんのノミックは?」ま、まずい、私のノミックは前回のアイスからそのままだったので、私はこの一言を恐れていたのだった。私のノミックを見てこれ比較のために写真に撮っておきましょう、ときた。致し方なく写真に撮ったら、カメラの電池きれで写らなかった。もう写真は終わりです。このため謎男さんの電池を買いなさいという私に向けられた小言がこの後に続いたのであった。で、この話は「でも、トコロさんのカメラは美しいものしか写らないところはいいですね」ということで終わったのだった。クリスマスルンゼは気持ちよく氷が発達していました。今までで氷の発達状態は一番でした。しかも、HMDさんは一段上の滝をリードしようとしているところ。我々はクリスマスルンゼを最も効率的に登り、滝上についた。そうしたら、謎男さんがこの上流がどうなっているか興味がある、という。行きましょう、ということで彼がロープを引いて上がり始めた。なめ滝があったり新雪があったりと辿って行った。天気がすごく良くて気分がいい。ラッセルを続けた。ブッシュからランニングを取ったり、悪いところを恐る恐る切り抜け久しぶりにアルパインの気分を味わった。天気が良くて気分もよくて時間のことを僕らは忘れて「やっぱり、ピッチをつなげて登らないと気分が出ないねぇ」などと優雅に語り合った。最後に謎男さんに新雪をプレゼントしてあと1ピッチとなって終わった。時計を見たら15:45まずい、すぐ下山しなくっちゃ。「トコロさん、僕、ヘッデン忘れちゃったんですよ」という。あのなぁ、ヴァリエーション来るのにヘッデン忘れるかぁ、と文句を言おうかと思った瞬間、出たのは「ああああー」であった。わ、私も、忘れてしまった。俺たち馬鹿だなぁ、と慰めあって慌てて下山した。冬の日の太陽は、ちみたちはアホか、とつぶやきながら沈み、優しいお月様が月あかりを僕たちに投げかけてくれた。僕らは二人で、ゆっくりと下山していった。   トコロ