南アルプス・尾白川本谷遡行~甲斐駒ヶ岳その①

2009年7月18~20日

尾白川林道~1800mビバーク地点

この三連休で憧れの甲斐駒の沢、「尾白川本谷」に行ってきました。
日向山北面の「ヤチキ沢」「濁川本谷」「笹ノ沢」と遡行し、その花崗岩の白い岩肌を流れる水流に魅了され、この山域の沢をすべて遡行してみたいと以前から思い続けていましたが、この周辺の「谷」と名前が付く沢は深い!!とにかくスケールがデカいんです!
その深さ故に中々踏ん切りが付きませんでしたが、クライミング教室同期のGさん、Tさんの二人がいればフォローもしてくれるだろうし、自分が躊躇してしまう所でも三人いれば何とかなるだろうと思い、行ってきました。



一週間前の天気予報では連休中晴れマークが付いていましたが、徐々に近づくにつれ土曜日が
曇りのち雨マークに・・・
それでも大雨じゃないから良いかと日向山へ向かういつもの道のりを快適に走ります。
矢立石駐車場に車を駐め、尾白川林道を歩き始めます。
出だしは雨も降っていなく時折日差しが見えたのですが・・・



尾白川林道にはトンネルが三つあり、二つ目は入口が崩壊していました。
このトンネルが崩壊したら尾白川本谷に下りるのは難しいですね。



林道終点から尾白川本谷に下ります。真新しいロープも取り付けられて踏み跡もあり問題有りません。



沢に降り立ち、沢道具を身に付け、「いざ!遡行開始!」水量がちょっと多い気もしますが、
濁流では無かったため、遡行を続ける事にしました。
河原歩きから徐々に淵が現れ、所々泳ぐ羽目に。ファイントラックの「フラッドラッシュ」
上下身に付けたTさんは余裕の泳ぎ。
自分も買ったものの今回は暑くなるだろうと予想して薄着で来てしまいました。
それが今回の唯一の後悔・・・



青空快晴であればこの淵はもっとエメラルドグリーンに輝いているはずなのですが・・・



女夫の滝に到着。徐々に雨も降り出し、乾いていれば問題ないスラブも濡れていると
ツルツル滑ってしまい、難しい!!
左側に残置ロープが有るとガイドブックには書かれていましたが、残置ロープは途中で切れていました。残置ロープが無くてもフリクションで登っていけますが。



鞍掛沢を右に見送り、10mのワイヤーのある滝に到着しました。水量は多く見えるものの、
スタンスはあり問題なく登れます。しかしどの滝も素晴らしい!!



登れない滝は巻きますが、右岸から巻くか、左岸から巻くかはよく見て判断しないと余分な体力を
消耗してしまいます。良く写真で見る噴水滝です。この滝も素晴らしい!!



ここまでノーザイルで滝は登れます。小滝も十分に楽しむ事が出来ます。
Tさんのわざとらしい演技も楽しんでいる証拠!



ここでアクシデント!深い淵の周りを歩き始めたら、徐々にツルツル滑りだし、
焦れば焦るほど深い方へ深い方へと沈んでいってしまいます。「アレ?アレ?アレレレエ~?」
とあっと言う間に上半身が水の中へ・・・ショルダーベルトにぶら下げたカメラが!!!!
水没寸前でGさんが手を差し伸べてくれました。
でもしっかりGさん、自分が沈んでいく所を写真に撮っていたんですね!



ちょっと難しい滝も嫁に手を差し伸べて問題なくクリア!う~ん、夫婦愛を感じますね!



黄蓮谷を左に見送り、本谷を詰めます。いつの日か黄蓮谷も行ってみたいな~と言っていたら
TさんGさんは「余裕ですよ!」といつものビックマウスが調子よく吹いてました。
このナメ滝も素晴らしい!嫁もニッコリ!?



小滝や淵の泳ぎ、河原歩きと楽しませて感動させてくれますが、長い!!
もうそろそろテン場を探しながら歩かなくてはなりません。
1600m近辺に適地がありましたが、もう少し標高を稼いでおかないと明日が大変・・・
右に左にと平らな所を探しながら足を進ませます。



目の前に坊主岩が現れました!今では訪れるクライマーも少ないのではないのでしょうか?
山野井泰史氏がこの坊主岩を冬期登攀したとの事。
どうやってあのスラブを登るんだろう?と思ってしまいます。
今では残置も使い物にならないのかも?



疲れが出始めてきて、小滝を登るのもしんどい!



タイムリミットの15時を過ぎ、このまま上を目指すか、適当な所を整地してビバークするか
判断しなくてはなりません。
1800m近辺で何とかツエルト二張り張れそうな所を整地しました。
そして濡れた体を早く温めたいので、まず焚き火!
しかし、雨で濡れた小枝は中々火が付かず苦労しました。



テン場から右岸を見上げれば、北坊主岩と西坊主岩が聳え立っています。
そしてそこから流れ出す西坊主ノ沢。あのスラブ滝はどうやって登るんだろう?
登山大系に記録が載っているという事は登った人がいるという事。う~ん!厳しそう!!



徐々に日が暮れ、夕飯を食べながらビールに日本酒と重い思いをしたお酒を楽しみながら、
夜は更けていきました。
やっぱり焚き火をしながらお酒を飲み、仲間と「今度はどこの沢に行こうか?」
と話す一時が至福の時間ですね。これだから沢登りは最高です!
明日はきっと青空快晴のはず・・・と期待しながら就寝。

つづく・・・
投稿者・トシゾー