南アルプス・尾白川本谷遡行~甲斐駒ヶ岳その②

1800mビバーク地点~六合石室



夜半は思ったよりも寒くはなく、雨にも降られなかったです。
でもやっぱりツエルトよりテントの方が快適かな~
起床4時で6時には出発出来ました。朝から目の前の巨大なチョックストーンを越えなくては
なりません。右側からボロボロズルズルの所を何とか巻く事が出来ました。



そして朝からこの核心!まだ体が起きておらず、気温も低いのに泳がなくてはならない・・・
嫁はもう巻くことしか考えていません。自分も巻き道を探しながらも、ネットで他のパーティーが
登っていることを知っていた為、Gさんに「どうする??」と聞いてみた所、
「巻きますか?」との返答。
じゃあ巻くか!と思ったらGさんが淵に近づき泳ぎ始めるじゃないですか!
Gさんが行けばロープを垂らして貰えるので、後続三人は安心して登ることが・・・



余裕と思っていたら・・・足が届く所は良かったのですが、足が届かなくなって泳ぎ始めたら
ザックの浮力が大きく、頭をザックに押されて顔が水の中へ!
必死に顔を上げようと、もがいたらメガネがずれて外れそうに!!
こんな淵でメガネを落としたら大変なことになります!
四人とも溺れそうになってしまいました。



徐々に雨も降り出し、とっても寒い中足を進めます。天気の回復は見込めず・・・
源頭部に近づくにつれ、巨岩が目立つようになってきました。



そして尾白川本谷一番の核心!チョックストーンが現れました。
こんな巨岩をチョックストーンと呼べるのかは分かりませんが、
こんなものが落ちてきたことを考えるとゾッとしちゃいますね~
Gさんの「やいやい、どうする?」と言った顔が良いです。



過去の記録だと右側に3mほどの倒木が立て掛けられてそれを梯子代わりに登ったようですが、
倒木なんて見あたりません。恐らく流されてしまったのでしょう。
右側の岩も崩壊が進みボロボロでとても登れるような状態ではありません。
左側をよく見ると、残置ハーケンがリスに4本打って残置スリングが掛けてあります。
それを利用して登ることにしました。
でもあの残置ハーケンは信用出来るのだろうか?スリングも切れてしまうのでは・・・
初めの一歩が遠かった為ハーケンを打ち足し、体重が軽いGさんにリードで行ってもらうことにしました。
先週あぶみの練習をしたのであぶみ代わりのスリングにうまいこと乗って無事クリア!
最後は自分が回収して全員登ることが出来ました。
残置スリングは怪しいですが、ハーケンはしっかりしています。



核心部を越え、チョックストーンの下を潜ります。
ここまで来れば一安心。



さらに進むと、最後の「30mのナメ滝」が現れました。
この滝を越えればもう滝らしい滝もなくなるはず。
滝の右側の凹角に入り登ろうとしますが、ボロボロになった花崗岩は手も足もズルズルで
中々登れません。
ザックを背負って登ることは無理と判断し、途中にあった残置ハーケンに荷物を引っかけ、
空荷で登りました。



自分がリードで登り、ボディービレイで三人を上げました。ここは50mロープ一杯でした。



この後の二股は右に取り、ちょっとした小滝でしたが出口がツルツルで登れない為、巻くことに。
さらに進んで傾斜も強く水量も少なくなり、源頭チックになっていきます。



水流もなくなり、もうそこに尾根が見えているのに中々たどり着かない・・・
ガレガレの詰めに、強風そして雨・・・急登に足取り重く、濡れたザイルを持ってくれている
Gさんも辛そうです。
ガイドブックでは「奥の二俣の右を詰める」と書かれていますが、右は崩壊している為左に取ります。
そして樹林帯に入れば獣道もあり藪漕ぎは全然無く、ドンピシャで六合石室手前の石碑の広場に
出ました!
登山道に出た時は嬉しかったですね~



登山道からわずか5分ほどで石室に到着。
四年前に日向八丁尾根から来た時は屋根のトタンはボロボロで剥がれそうになっており、
積み上げられた石も隙間があり、夜はかなり冷え込んだ覚えがありましたが、三年ほど前に
改築されたと聞いてましたが、ここまで綺麗になっていたとは!



天気が持てば、七丈の小屋まで行ってしまおうと思っていましたが徐々にもの凄い風雨になり、
こんな天候で稜線を歩くのは危険、何とか七丈の小屋に辿り着いたとしても、所持金が足らず
小屋には入れない、ツエルト一枚で雨風を防げる訳もないので、今日はここまでとしました。
携帯の電波が通じたので、明日の天気予報を見てみると、なんと快晴の予報!
ならば、明日は快晴の山頂に立てるはず!
と言うことで石室でまったりした時間を過ごしました。
小屋には誰もいないだろうと思ったら、昨日から停滞しているカップル、
その後北沢峠から鋸を目指す御夫婦の四人+自分達四人が石室に泊まることになりました。

つづく・・・