9月月末クライミング「北岳バットレス第四尾根」

2023年9月23~24日
9月に入ってからは出張やら講習やら打ち合わせやら山やら沢やら?とプライベートなのか仕事なのか分からないほど目まぐるしい忙しさ!ちょいとお疲れな私。。。
この週末は若手の皆さんを連れての北岳バットレスへ。
ここ最近入ってこられた皆さんは山をやるアルパイン志向。4月からマルチピッチやバリエーションルートを経て最終目的を北岳バットレスとしました。
でも天気予報はあまり芳しくない天気。。。どうする?行き先変更も考えましたが、金曜日の夕方の天気予報で日曜日は秋晴れになる予報と言う事から、予定通り北岳へ行くことにしましたが、何だかバタバタ?の出発となってしまいちょっとイヤな予感が。。。
 
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▲自宅を5時に出発して、芦安駐車場に7時に到着。駐車場はイマイチの天気予報のためか、割と空いている状態でした。

7時50分のバスに乗り込むも、立ち乗りになるほどの満員状態。そんなに押し込まなくても良いのに。。。
 
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▲バスに揺られること1時間で広河原に到着。乗り物酔いしすいやっちゃんとタッサンは酔ってしまって青い顔?ちょっと落ち着いてから出発するとのことなので、私とノミズさん、モリッシーさんの3人で先に出発することに。

 
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▲広河原から御池小屋まではなかなかの急登!久しぶりの重荷とあって汗もダラダラ。。。

1時間半で御池小屋に到着。
 
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▲北岳バットレスは何度も来ていますが、bガリー大滝から登るのは約7年ぶり。なのでアプローチもうろ覚えなので下見がてらギアをデポする事に。

相変わらず踏み跡は交錯していますし、これ見よがしにピンクテープがあちらこちらにあって紛らわしいったらありゃしない。
昔の記憶を頼りに踏み跡を追っていくとそれらしい壁が?あれ?こんな壁だったかな~?と思うも、ガスってしまってイマイチ良く分からず。
 
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▲ふと足元を見ると名残惜しく咲いているタカネビランジが。

 
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▲確かここだったよな~?と言う記憶を頼りに詰めていくと、ありました!でも久しぶりすぎてこれがbガリー大滝なのかも疑心暗鬼に。それでも壁をジッと観察するとハーケンが所々に有り、これがbガリー大滝だと確信できました。

 
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▲ギア類をデポして降りていくと、モリッシーさんやユータ君&アリスさん夫妻、タッサンにやっちゃんも登ってきました。「皆さんもギアをデポしに来たの?」と聞いたら、「そう言われればそうだよね~ギアを持ってくれば良かった」とのこと。ホント、この時ギア類を確認しておけばと思うも後の祭り。

 
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▲翌朝、今回のパートナーでもあるノミズさんの携帯の音で目を覚ましましたが、頭が痛い。。。

やっぱりウイスキーはヤバイって!しかも1泊なのに500mlは致死量だな。と思いながら身支度を。
若手と違って今年古希になられるノミズさん、歩く速度も若手とは違うので30分ほど早めに出発。
二日酔いでヘロヘロ、朝から急登を登るのも大変ですけど、下見をしたお陰で迷う事なくbガリー大滝下に到着。
先行パーティーはいなく、私達が一番のよう。さ~って準備をして登りますか!とノミズさんの携帯が鳴る?モリッシーさんからで「ハーネスを忘れた人がいて・・・」とのこと。「誰が忘れたの?」と問いかけもはっきりしない返事。私に電話を替わったら「イヤ~自分がハーネスを忘れちゃって・・・」なんですと~!!!
全く何やってるの!と怒れてきてしまいましたが、それは今更ですし、お互い様か。
モリッシーさんの提案で3人×3人の2パーティーで登ることとし、暫し待っているとヘッドランプがユラユラ。来たかと思い声を掛けるとなんと別のパーティー。
その後10分ほど待ってヘッドランプが見えたので声を掛けるもまたもや別パーティー!?
さすがに後ろに7人もいて、登らずにいる事は出来ないので、取りあえず私が登り始めることに。私が登っている間に皆さんが来てくれれば、間に入れてもらえるはず。そうノミズさんに伝えてbガリー大滝上に到着して終了点を構築しセルフをセット。
下にいるノミズさんに声を掛けるも、まだ皆さん来ていない様子。さらに10分ほど待つもまだ来ないようなので、ノミズさんに登って貰う事に。
ノミズさんはだいぶ躊躇していたようですが、仕方がありません。先に取り付いた人に優先権があるのは暗黙の了解ですがそれを盾に随分待たせた上に4人入れて欲しいはいささか我が儘すぎます。
若手の皆さんには申し訳ないですが、まだチャンスはあります。
それにしてもヘッデンで登るのって大変。
 
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▲久しぶりのbガリー大滝なので、その上のアプローチもうろ覚え。こんなにも登ったかな~?と言うぐらい急登を登ってハイマツ帯をトラバースするとcガリーへ。cガリーをトラバースして少し歩いたところにある汚いルンゼを詰めると4尾根のテラスに到着。

予定通り日の出時間の5時半に着くことが出来ました。
 
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▲一息入れて4尾根へ。今回60mロープなので2ピッチ分伸ばしてピラミッドフェースの頭の終了点へ。

 
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▲バットレス4尾根を登ることを夢にまで見ていたノミズさん。ようやく来る事が出来ましたね~

笑顔が輝いています。
 
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▲2ピッチ目はピラミッドフェースの頭を右に回り込んで白いフェースを。

 
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▲ここも2ピッチ分伸ばして三角垂壁まで。各終了点にステンレスのペツルのボルトが打たれていました。

 
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▲垂壁下のテラスで大休止。この先座れるほどのテラスは無いので、ここで食糧を補給。それにしても寒い!気温が低くなる予報でしたが、私は寒くて寒くて仕方が無し。なのでダウンジャケット&カッパを着て登ることに。

 
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▲3ピッチ目。垂壁を越えると馬の背リッジ。

 
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▲リッジの先に懸垂支点があります。ここも支点が打ち替えられていました。事故が起きる前に打ち替えられて良かったと思います。

 
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▲天気は上々!富士山も遠望できました。

 
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▲ここまで来れば4尾根もあと僅か。

 
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▲ノミズさんも喜びのポーズで写真を一枚。

 
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▲4ピッチ目はお決まりの懸垂下降。

 
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▲5ピッチ目はマッチ箱のテラスから枯れ木のテラスまで。馬の背のリッジよりもイヤらしいと思うのは私だけ?

 
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▲6ピッチ目は枯れ木のテラスから城塞ハング下まで。相変わらずこのトラバースは恐ろしいったら。。。しかもdガリー奥壁からのチムニーの幅が徐々に広がっているような!?気のせいかもしれませんが、ここが崩落したら4尾根自体がcガリー側に崩落して消失してしまうことでしょう。

 
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▲最後の7ピッチ目の城塞ハングは何本かハーケンがグラグラで選んでヌンチャクをセット。

ノミズさんは苦労しながらも登ってきてくれました。
 
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▲無事終了点のテラスに到着。8時半頃着いたので、4尾根のテラスからは3時間、bガリー大滝からは約4時間の登攀でした。

 
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▲最後の急登を登って登山道に合流。もう少し遠いかと思っていた北岳山頂でしたが僅か5分ほどで着くことが出来ました。やっぱり山頂は踏んでおかないとね!

ノミズさんとツーショットで写真を一枚。
 
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▲山頂から駆け下って八本歯ノコルから見上げるバットレス。

すれ違う登山者の方から「あの壁を登って来たんですか~?」「何故あの壁を登ろうと思ったんですか?」との問い掛けに「そこに壁があるから・・・」とは答えませんでしたが、「クライミングを始めた人にとって最初に目標にするルートだからですかね~」と答えておきました。
いきなりの質問にもっと格好良く答えられるように考えておかなければ!しかし何故登ろうかと思ったと考えても、当時の私は何故登ろうと思ったのであろう?
 
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▲山頂から1時間ちょっとでテン場に到着。テントを干したり、日向ぼっこしながらノミズさんを待つこと1時間でノミズさんも無事到着。二人でマッタリしていたら、ふとバスの時間が脳裏に過ぎり!?

14時のバスを逃したら最終の16時40分まで待たなけりゃならないかも!?と言う事で慌てて出発。
慌ただしく歩き出すも、全装備背負ってのザックは重いのなんの。
しかも行きも急登だった登山道は帰りも急坂ですし~それでも1時間で広河原に到着。
若手の皆さんは先に帰られたとのことで、一人待っていてくれたモリッシーさんと合流。
ノミズさんも下山されて14時前のタクシーに乗り込み芦安に到着。
金山沢温泉でゆっくり浸かって帰途につきました。
 
今回若手の皆さんは目標にしていた4尾根を登ることが出来なくて残念。でもまだまだチャンスはあります。ノミズさんにとっては年齢的にも今回がラストチャンスでした。古希のお祝いにバットレスを登攀できて何より。喜ばれている姿を見ると、一緒に登った私も嬉しい限り。共同装備一式を持った甲斐があります。
後日談
4尾根登攀中に頭が痛い(二日酔いか?)悪寒がする(寒気が降りてきて気温が低くなったからか?)と思っていましたが、帰宅後何となく身体が熱いと思い体温を測ると39.6℃!
翌日には41.2℃!抗原検査ではコロナ陰性なのでホッとしていましたが、病院に行ったら「インフルエンザA型ですね~」と言われてしまいました。
コロナもインフルエンザも流行しているようなので、皆さまもお気を付け下さいませ。by toshizo