白峰南嶺・小河内山南尾根~水無峠山~鹿ノ子池

2009年6月27~28日

今週末も梅雨の中休み!と言う事でまたまた沢登り計画を立てました。
今回はクライミング教室で一緒になったTさん、Gさんと自分の三人は沢登り、嫁とR子さんの二人は登山で小河内山P3で合流しようと計画しました。
白峰三山から延びた尾根は笊ヶ岳や布引山を通りこの小河内山まで延びています。小河内山からは山伏から安倍奥の山々へと尾根はまだまだ延びますが、小河内山と山伏の間にある大笹峠に井川雨畑林道が開通した事から、小河内山が白峰南嶺の末端と言っても良いかもしれません。

小河内山は何度も訪れた事があり自分にとって、とても好きな山です。
特にP3のコルの笹原からの景色は格別で、何度訪れてもとても素晴らしい場所です。
そのコルに突き上げる沢が小河内沢の枝沢との事。Uさんから教えていただいた情報で今回の沢行きを計画しました。



沢登り組の三人は市内を早朝出発し、井川を越え小河内の集落を通り過ぎた所で車を駐め、
沢沿いの林道をトラバースします。
歩いていくと下からニョロニョロうごめくものが・・・やっぱりここもヒルだらけでした。
しかも尋常ではないヒルの数!油断していると靴に何匹も取り付いています。少し歩いては
ヒルチェック、少し歩いてはヒルチェックと神経的に疲れてしまいました。



植林の伐採の作業道がしっかりと付いていた為それに沿って進んでいくと、
作業道が無くなってしまいました。
ヒルから逃げる事だけで精一杯になってしまい、地図にある破線とは違う林道に途中から
入り込んでしまったらしく、急でボロボロの獣道のトラバースになり神経を使います。
地図と標高を見合わせてみると、まだ少ししか進んでいません。
一時間歩いてこの距離では、到底女性陣との合流に間に合いそうもありません。
そこで沢登りは諦め、小河内山南尾根(長尾根)に取り付きP3を目指すことに変更しました。
沢登りを期待していたGさんは不服そうな顔・・・
女性陣が待っていなければ沢に突っ込んでも良かったですが、やっぱり待っている事を考えると
リーダーとしては確実な方を選択するしかありませんでした。



1400mまでも急登でしかもこの蒸し暑さ。沢登りの予定だった為、ハーネスからギヤ、ザイル、
沢靴と不要なものまで持って重量増。しかも飲み水も少ししか持ってきませんでした。
少量ずつ水を補給し、汗を拭いながら足を進ませます。
途中休憩場所でTさんが塗っていた日焼け止めをもらおうと中腰で手を伸ばした途端、
腰が抜けるような感覚が!!
持病で癖になっていた腰痛が再発してしまいました・・・ギックリ腰のように激しい痛みや
歩けないほどではありませんが、不安定な腰での重荷に耐えられるかどうか・・・
不安を抱えながら1400mまで上がり、そこから平坦になりホッとしました。



地図上で見ても平坦ですが歩いてみると長~い尾根です。時には笹藪になり嫌気がさし三人とも
無口になり、ただただ先に進むだけです。
P3のコルが見えたので「ヤッホー!!」と、居るであろう女性陣に声をかけてみると、
返事らしきものが聞こえました。後ろの二人に「聞こえたぞ!」と言うと二人は聞こえなかったとの事。
しきりに「幻聴だ、幻聴だ」と言うので女性陣はまだ居ないのかと肩を落とします。
最後の急登を登りきり。P3のコルにようやく到着。もう飲み水も無く喉はカラカラ。
もう女性陣の水だけが頼り!「頼む!居てくれ!」と祈り、荷物を置いてコルに駆け寄ると、居ました!
良かった~!こんなにも嫁に会えて嬉しかった事はありませんでした。
取りあえずありったけの水を飲み、喉を潤してから水無峠山に向けて出発します。



小河内山P3の三角点です。ハーネスやらザイル等不要な物はここにデポし、軽荷にして鹿ノ子池を
目指します。



女性陣が食料からお酒等重い物を持ってくれたので助かりました。さすが嫁とR子さん!
男性よりも頼もしいですね~
一年ぶりに水無峠山に到着。山頂標識も何もないこの場所が素晴らしい!
さて、ここから鹿ノ子池までが難しい。登山道など有る訳がないので笹藪を漕ぎながら
地形と地図を睨めっこ。獣道を使わせてもらいながらも、歩きやすい方ばかりに行かないように
気を付けます。
右と左を見渡し、自分がいる場所を確定して足を進ませますが、似たような地形で起伏もあり、
しかも下りていくので尾根は扇状に広がり、かなり難しい!!
後ろにいる三人からは、大丈夫なのか?と言葉には出しませんが、疑心暗鬼の眼差し・・・
後ろからの痛いプレッシャーの中、自分の野生の勘と読図で地形を読みます。
信じる物は
自分のみ!



目を大きく見開き、耳をそばだてると微かに水の音が聞こえます。
絶対ではありませんが、確信を持って下りていくと・・・ありました!幻の「鹿ノ子池」が!
三年前に訪れた時と何も変わらず、ただただ、そこに水を貯め下流に流れています。
この山中に静かに佇んでいるこの景色が素晴らしい!



三年前にテントを張った場所に行き、今回もその場所にテントを張りました。
訪れる人も僅かなこの場所はまさしく秘境。いつまでも永遠にこの場所はこのままであって欲しいと
願います。
しかし、前回訪れた時よりもゴミが多かったのが気になりました。
この場所を訪れる人はごく僅かで、本当の山屋さんのはず。ゴミは必ず持ち帰って欲しいものです。



今宵の夕飯は麻婆茄子にしました。生の野菜を荷揚げするのは重いので大変ですが、
この山上の楽園でフリーズドライでは悲しすぎます。
美味しい夕食にビール、日本酒、ワインとすすみ、同年代なので会話も進みます。



朝も早かった為徐々に眠くなりますが、会話が盛り上がり、まったりムードで遅くまで
話し込んでしまいました。
夜半は鳥の声や腰の痛みで時々目を覚ましたりしてしまいましたが、グッスリと寝る事が出来ました。



名残惜しいですが鹿ノ子池を後にし、出発します。鹿ノ子池の源流部に立ち寄り記念撮影。
この場所に水が集まるのは本当に自然の妙なのでしょう。この地形がなければ鹿ノ子池が出来る事も
なかったと思います。



下りよりも登りの方が気が楽で地図を確認しながら水無峠山に到着。
途中にサラサドウダンが沢山花を付けていました。ドウダンツツジは今が見頃ですね。



そして昨日女性陣と感動的に再会した小河内山P3のコルでしばし休憩。
青空快晴ではありませんが、昨日よりも遠くまで見えました。
やっぱり一番近くで圧倒的な存在感を醸し出している大無間山、そして風イラズ。
一昨年の正月はあそこで寒波に耐えながらラッセルに苦しんだ事を思い出します。



下山途中にある小河内山P1の山頂標識と三角点の前でTさんとGさんがガッツポーズで記念撮影。
二人とも沢登りが出来ず申し訳なかったですが、楽しんでくれたのかな?



何回かアップダウンを繰り返し、笹を掻き分け大笹峠に置いてある我が家の車を見て一安心。
計画通りの沢登りは出来ませんでしたが、なかなか濃い内容の山行を行う事が出来ました。
小河内の集落に置いてあるTさんの車を回収して、口坂本温泉にて湯槽に浸かり帰途に付きました。
口坂本温泉に向かう途中で雨がポツポツと降り出し、温泉に入っている間に本降りとなりました。
山の中で降られなくて良かったです。
本当に梅雨の合間の良い山行でした。

この山域は本当に素晴らしく、また訪れたいと思いました。
鹿ノ子池は本当に素晴らしい場所です。今回一緒に行った仲間にも、小便は水場から離れた所で、大便は穴を掘り埋め、用足しのペーパーは持ち帰るようお願いしました。
人が多く登る山は、ゴミやトイレが問題になっています。
八ヶ岳のようにアプローチも短く、山小屋もあり景色も素晴らしい為、人が多く集まる場所なので登山道脇の茂みに入ると人糞とペーパーが散乱しています。
山が素晴らしくてもこれでは台無しです。
多くの登山者が、この問題に取り組み将来、人糞まみれの山にならない事を願います。

投稿者・トシゾー