2025年7月5〜6日
9年前に憧れのビックルートAフランケに拓かれた「スーパー赤蜘蛛」にトライすべく初めて訪れた甲斐駒ヶ岳の岩場。そのアプローチの途中で見た朝焼けに照らし出された一筋のクラックに魅了されてしまいました。昨年、アプローチの確認や整備をし今回初登狙いでワッキー君と共に行ってきました。
▲相も変わらず黒戸尾根から入山。毎度思うことですが、泊まり道具にクライミングギアを背負ってのこの急登は痺れます。。。こんな重荷を背負ってる私達って頭悪いんじゃ無い!?と思ってしまうほど💦
▲ヒーヒー言いながらなんとか七丈小屋のテン場に到着。テントを張り終えたら目的の八丈沢へ。アプローチから見える美しいクラックはいまだ健在!
▲昨年訪れた時は壁の基部まで行けるのかどうかも分かりませんでしたが、自然の妙?でバンドがうまく繋がっていました。
▲私が惚れ込んだクラックに取り付くことに。見事なスプリッタークラック!無事初登成功。ルート名は「Little Moon Crack」としました。グレードは5.10b。ロープスケール約30mです。
▲今回はフォローで登ってくれたワッキー君。ワッキー君も楽しそう。
▲他のルートの終了点の設置やクラックの中の掃除をしたりしてこの日の作業は終了。テン場に戻ってきてからのこの一杯が至福の時間🍻
▲夕方に雨に降られましたけど、翌日は雲海に浮かぶ朝日も見ることが出来ました。
▲朝飯を食べて八丈沢へ。今日は青空快晴で良い天気。
▲ワイドが得意なワッキー君は見事なワイドクラックへ。
▲ワッキー君、無事初登達成!
▲ワイドが苦手な私はフォロー回収で。もうワイドを登っている最中は悶絶モノ!?でもワイドから抜け出せた時の開放感はたまらないッス♥️ルート名は「八丈Chimney(チムニー)」グレードは5.9です。ロープスケール約30mです。
▲まだ20代と若いワッキー君はやる気元気!?で次なるクラックへ。出だしは#6キャメが開ききった状態でランナウト!落ちたら10m!?と言うワイド。上部も#5〜3までとイヤらしいサイズ。
▲足を震わせながらも核心を越えて初登達成!ルート名は「Godzilla Crack」グレードは5.10dとしました。
▲若者に負けてられない!?と言うことで私もトライ。無事第2登!?成功♥️
▲最後に残された大物!?見た目からこのクラックが一番難しそう・・・何故か?ワッキー君が私に最初に登る優先権を譲ってくれたのでオンサイト初登を目指しましたが、フィンガージャムがすっぽ抜けて断念😭
▲私は不甲斐ない登りでしたが、ワッキー君は奮闘した登りで初登成功!素晴らしい㊗️ルート名は「Monster Crack」グレードは5.11aとしました。
▲なかなか奮闘したクライミングを楽しむことが出来ました。八合目の鳥居跡で写真を1枚。目的のクラックを登ることが出来て良かった〜
※過去もしかしたらこのクラックは登られているのかもしれません。もしご存じの方がいらっしゃったらご一報下さい。それまで取りあえず初登と言うことにさせて頂きます。
※アプローチ概略
アプローチは黒戸尾根八合目から岩小屋経由でAフランケと同じアプローチへ。途中ハーケンが打ち込んである枯れた倒木付近から八丈沢左俣側壁が遠望出来ます。
八丈沢へ降りる最後のFIXロープを降り立ったところからから沢に向かって水平にトラバース。(Aフランケ方面は八丈沢を下ります。)
30m程獣道を辿ってトラバースすると灌木に黄色のFIXロープがあります。FIXロープを使って10m程降り少し下って沢をトラバース。八合目の岩小屋から八丈沢へ降り立つまで約20分ぐらい。
壁が上部に見えますが直登は出来ないので獣道を使ってバンドをトラバース。(落ちたら怪我をすること間違いない高さなので気を付けて)邪魔になる灌木は切ってあります。20m程トラバースすると左手側に洞窟あり。その洞窟を潜って(2m程)這い上がるとFIXがあります。(洞窟内は狭いのであとから荷揚げ)
FIXを辿ると右手にあるテラスが「Little Moon Crack」の取り付きです。テラスから見上げるクラックは見事なスプリッタークラックで思わず感嘆の声を上げてしまうことでしょう!
「Little Moon Crack」を正面に見て左にあるクラックが「Godzilla Crack」、「Little Moon Crack」の右にある顕著なワイドが「八丈Chimney」その右隣にあるオフセットクラックが「Monster Crack」です。
※ルート概略
①ルート名「Little Moon Crack」初登者トシゾー、グレード5.10b、ロープスケール約30m、カム#0.2~#0.5キャメまで1セット#0.75~#2まで2セット、(#2キャメがもう1個あるとランナウトしない)アルヌン1本、終了点は灌木に残置スリング&ラッペルリングを通してあります。
②ルート名「八丈Chimney」初登者ワッキー、グレード5.9、ロープスケール約30m、カム#0.2~#1キャメまで1セット(チムニー内はビッグブロがあれば安心)アルヌン3本、終了点は灌木に残置スリング&残置ビナ2枚有(Monster Crackと共通)
③ルート名「Godzilla Crack」初登者ワッキー、グレード5.10d、ロープスケール約25m、カム#0.5~#5まで1セット(ワイド部分は#7&#8キャメもしくはビッグブロがあればプロテクションはセット出来ます。)終了点は灌木に残置スリング&ラッペルリングを通してあります。&バックアップで残置シュリンゲ&残置ビナ1枚有り
④ルート名「Monster Crack」初登者ワッキー、グレード5.11a、ロープスケール約30m、カム#0.2~#0.5キャメまで1セット、#0.75~#3まで2セット、#4~#5キャメは1セット(ワイドで#6があれば安心)、アルヌン3本、終了点は灌木に残置スリング&残置ビナ2枚有(八丈Chimneyと共通)
南アルプス甲斐駒ヶ岳、黒戸尾根という日本三大急登の一つと言われる長いアプローチを重荷を背負ってこのルートに取り付く酔狂な?クライマーの方が何人いらっしゃるのか分かりませんが、もし取り付く方がいらしゃったら幸甚です。(AフランケやBフランケ、赤石沢奥壁に拓かれたマルチピッチに比べればスケールは小さいですが)
但しここはゲレンデでは無く、アプローチが約6時間も掛かる山の中なので、怪我をすると自力での下山が困難になると言うことを認識して取り付いて頂けたらと思います。
by toshizo