見えないところが恐いDガリー奥壁

9月21日から1泊2日でバットレスはDガリー奥壁をモミジ・トコロで登ってきました。詳細は竜爪にゆずるとして、簡単に報告します。
「5連休はトコロ君、どこいくだ?」と会長が言うので「裏剣行って温泉に入ろうかと思って」と応じた。「そんなとかぁ、年取ってから行くところだ、クライミングに行かだぁ唐幕の大凹角ルートだ」と言う。で、唐幕に行く予定であったが、会長がふくらはぎを痛めてしまい、急遽バットレスDガリー奥壁となった。前回は中央稜、今回はDガリー奥壁だ。
 21日モミジさんの家に行った。当然待っていると思ったら人の気配すらない。玄関の戸をたたいた。3分ほどして仙人がショートパンツ姿で出てきた。よく見るとモミジさんであった。今回はクライミング名人の彼がアルパインで初リードをする。何かあるだろうけどなるべくお手柔らかにということで出発。今日はビヴァークポイントまで入ればおしまい。
 22日4時起床。飯を食って撤収後必要な物だけもって4時40分出発。下部岩壁には3パーティほど待機していた。前がつかえたのでリードのモミジさんに左へ行ってもう一段上のポイントでビレイしてと言ったら、前のパーティの人に「ザイルが錯綜するからやめて下さい」としかられた。4尾根取付からつるべ3ピッチで垂壁下第2コル到着。次は懸垂なのでトコロリード。いよいよDガリー奥壁取付への懸垂となる。
 4尾根より左側の領域にはいるのは初めてだ。しかし、トポの地形が実際に確認できたので、問題なし。1ピッチ目の懸垂は15m。2ピッチ目のポイントにはしっかりした残置ビナがあった。50mダブルならば1ピッチで降りられる。
ハング帯の右側を通って大きなテラスに着いた。1ピッチ目はそのハング帯を越える。見た目越えられそうなのでほっとした。リードしようとしたが名人のモミジさんがいるので彼の方がよいと思いリードを任せた。この判断が素晴らしかった。三段ハングを越えたところにまたハングがあり、ここが難しい。名人はフリーで抜けたが、私はA0でやっとこさ抜けた。ここは下から見えないのだ。2ピッチ目、このルートの特徴であるクラックだが、ランニングがない。持っていたカムも使えない。クラックが終わったところにピンがあった。周りを見ると1mごとにピンを打ってあるクラックだけが見え、他に行くところがない。人工と思えるルートをピンの頭を踏んで登った。抜けて右へ移動し草付まじりを行き、オフウィズス下でビレイ。3ピッチ目はモミジさんがオフウィズスをズリズリしながら登った。前2ピッチに比べるとやさしいが慣れていないので登りにくかったしピンもない。失敗するとリードだろうとセカンドだろうと底へ落ちる。4ピッチ目のチムニーはチョックストーン横に手が届くとおしまい。届くまでは背中と足で突っ張りながらズリズリあがる。「終わったー」と声を出しながらチムニーから顔を出すと4尾根を登ってきた後続パーティが目の前にいた。驚きの声を上げながら祝福してくれた。12時40分4尾根終了点でザイルを解いた。中央稜より難しかった。
【ピッチ概要;基本はクラック (+スラブ壁)】
1、三段ハングは左方クラックを攻めた + シンハンドクラック(キャメロット使用)+ 終了点ピトンに浮き有り、前後に移動して確保すべし。(写真では右側にある終了点にて確保した)
2、フィスト(大)の階段状クラック + 突き当りを直登した方が迷いがないかも知れない、教科書的には左方から攻めている写真有り。
3、スクイズチムニー(大)のワイドクラック
4、パックリ割り石のチムニークラック
以上、4ピッチ
写真は、ルート全般のハング越えの出口から、右手に伸び上がって来るラインがシンハンドクラック、そして階段状クラックへ流れとなる。