山岳遭難の実態と救助現場から学ぶ!

日時;平成21年9月27日 1時~3時
場所;藤枝市 サンライフ藤枝
講師;岐阜県県警察航空体長 中島健次郎
(報告;奥山)
 

1、山岳遭難事故の状況; 分母は中高年なので、必然で中高年の事故、及び危機管理が叫ばれている。

話では、単独登山が96%を占めており、見届け登山による事故の捜索遅延が生死を分けているとのことでした。 何故?中高年が山に向かうのか・・・・笠ヶ岳に登山して下山はヘリを要請した話など、ご自身で会場が和みムード満点でしたが、さすが現場のビデオになると皆さん食い入るようにご覧になっておりました。

2、遭難事故の原因;【遭難者の心理状態は似通った共通項が感じられたとのこと。】

1、鍛えている自分に限ってと言う過信による事故。 
2、軽微登山者による吹雪・降雪。遭難事故などは、甘い気象判断がみられること。
3、単独登山者の道迷い、遭難救助の体勢が見届け者では適わぬこと。
4、無理・無謀な登山計画が背景にあること。
5、遭難救助を要請した場合や、登山計画を提出後の遭難では、発見されることを前提とした対応策をとること、実直に云えば『稜線上に居ること・自分で動かないこと・目立つ服装や救助に発煙灯を常備すること・通信手段の確保』

3、へりによる山岳救助要請があった場合、次の要綱が述べられた。

1、位置の把握(PPS/山立て)
2、上空から発見しやすい場所で動かないこと!
(※事例、12日間雪洞を掘り ラジオで気象確認し稜線上に居た! 雪の沢が最悪である!
3、上空から発見しやすい服装・携帯品・カメラのフラッシュ等
4、通信手段の確保と定時報告(予備の電源がないと肝心の時に発見できない)
5、ヘリコプターの操縦士の目線で機体を誘導する心得
6、野次馬根性の集団による落石が遭難現場では危ないとのこと。
7、ヘリコプターのダウンフォースに注意すること。
8、ヘリコプターの墜落要因となる、コンビニ袋の置去りを徹底して排除して頂きたい!

4、遭難事故の防止策

1、確実なる詳細ルートの届け!【そうでなければ探しようがない、救助しようがない。】
2、余裕ある時間を配慮し無理をしない!
3、自分の体力にあった登山!
4、充分な食料・水・装備!
5、できる限り複数の人数での登山と、定時報告!

5、平成20~21 救助活動の現場ビデオ

ご遺体を回収する作業や、山肌を舐めるように滑空しないと捜査活動が出来ないので、最悪な事態は視界が確保出来なければ救助どころではなくリスクが感じられたし、ガスなどがでると非常に困難なことが分かる。 (へリコプターは、ホバリングで大量のガスを消費するし、ピンポイントで降下作業を行う必要性があるが気流の安定を考えると難しいとのこと。)

雪の写真は、左隅が救助隊員