山があるから、僕がいる

2月5日山野井泰史講演から、「 」がおおむね山野井さんが言ったこと、後ろの( )は私=トコロがわかりやすく説明したものです。写真は誰かがアップしてくれるかもしれません。

1 (バフィン島トール西壁)「本当に貧乏で、今も金はないけど、目出帽持っていなかったし、この手袋が唯一の手袋でした」(これはつまり、ミレーとかパタゴとかで登るのではない、ユニクロの700円のフリースで十分だ、ということをいっている)
2 「大体100kg位かつげます、体は小さいけど。富士山で強力していた時は65kg位を一度にあげていました」(これはつまり、剣で25kg背負わされたくらいで文句いうなということをいっている)
3 (89年フィッツロイ敗退)「孤独だった、山での孤独を味わった」(これはつまり、山男はもてないという誰でも知っていることを言っている)
4 (ブロードピーク)「7人で登った。僕が一番強かった。訓練もあるけど、最近は遺伝的なものともいう」(これはつまり、私=トコロがヘタレであるのは親の責任だ、と慰めてくれている)
5 「これだけ山には行っているけど、花の名前は全く知らない」
6 「アイゼンとピッケルと靴が僕のもので、あとはみんな借り物」(これはつまり、衣類は共同装備である、ということを言っている)
7 「8000mへ登るのに荷物は5kg、高山病にはなるけど重いのはだめだけど軽ければのぼる、50時間くらい登り続けてピークについた」(これはつまり、背負う荷物が少なければなんとかなる、ということをいっている)
8 「これ山頂で撮った写真です、一人なので顔しかとれない、この日脳細胞が相当死んだ」(これも詰まるところ、山登りにはアホが多いというよく知られたことを言っている)
9 (K2)「一人で登った。高所に長く滞在したくないのでベースキャンプから48時間連続で登った」
10 「下山後3日間、眠れないし食えなかった」(これはつまり、登山をすると仙人になれる、ということを言っている)
11 (遭難のギャチュンカン)「体調はすごくよくって、5000mで50を切る脈拍でした、5日間で往復予定だったが、気圧が落ちてきていた」
12「60度くらいの壁、ロープ無しです、お互い巻き込まれるのが嫌だから、テントは二人用で900g、食料も900g、寝袋もちっちゃい、全部でやっぱり5kgくらいです」
13「あきらめて下山し始めて、10時間行動して300m下っただけだった。妻は数歩歩いては倒れた。4日間何も喰わず、水もなし、全部捨ててストックだけ」(これはつまり、山の装備で最も重要なのはストックである、ということを言っている)
14 「宙づりでしかも目が見えない、今にも死にそうなのに、おしっこもらしたら情けないなぁって思うんですよ、不思議ですねぇ」
15 「能力の全てを出したいって思っているのですが、この時は出せた、いいクライミングでした」(これはつまり、荷物を持ったため剣は能力の一杯まで出せたので充実していた、という山行報告と同じことを言っている)
16 「こうなると(凍傷は)指の先に何か固いものがいているって感じで痛くはなかったですが、手術のあとは痛くって・・・。さすがにこういう登山はもういいかなって思いましたね、4ヶ月入院していたうちの1ヶ月くらいは」(これはつまり、つらくてもまた荷物を持ちます、というトシゾー氏の決意と同じことを言っている)
17 (復活の四川省ポタラ)「四川ってずーっと雨ばかり降っています、1ヶ月いて晴れたのは2,3日、ずぶぬれのクライミングでした」
18「(富士山のボッカ)おしりにガムテープがついているのは、シリセードで下っていたからで、速いですよぉ、最短山頂から50分で降りたから。時々登山者が来て滑落と勘違いされると困るから、手を振りながらシリセードしてました」(これはつまり、滑落する時に楽しそうに手を振ってはいけない、ということを言っている)
19 (熊に襲われて)「1年くらい前ですね、熊って恐いです、一人で山に行けなくなってしまいましたから。熊鈴ふたつつけて歩いています」
20 (NHKとGreenland)「クライミングだけじゃなくて、夫婦愛みたくなっちゃって、最後疲れてリードを交代したら先に登らせて上げたみたいになっていた。この人、カメラマンです。彼らは本当に優秀でした」
21 「食料は全部日本から持って行った、その方が安かったから、あっ、これマルタイ棒ラーメンです」(これはつまり、キタカマのあとトコロがトシゾー氏に余ったマルタイラーメンをあげたのは、山野井のように100kgに耐えられるクライマーになって欲しい、という気持ちの表れであるということを言っている)
22 (使用のグリベルのピッケル)「野菜掘るのにピッケル使ってますが、使いやすいですよ、これ使って二日前にはアイスしていました」(これはつまり、ピッケル=鍬すなわち鍬=ピッケル、アイスは鍬で登れる、ということを言っている)
23 「秋に3年考えていたチベットの7000m級に行ったけど、途中でやめました、行きたい山とか、理想のクライミングができないなっていう感じがあった、努力しても戻らないかなって・・・」
24 「でも半年たったら、行きたいなぁ・・・・ここまで来たら死ぬまで登ろうかなって思っています。さもなくば、・・・登れなくなってきているというのもあるんで、80歳くらいになってもマットもってこの石を今日こそ登ってやるぞっていうような爺さんになろうかなぁとか考えてます」
25 (ところで山野井って英訳するとMt.SpringFieidでしょうか。山と野原と井=水でみんなそろった名前ですな)