錫杖岳前衛壁「注文の多い料理店」

2010年9月29日

今年の6月に訪れた錫杖岳に再び訪れました。6月は入門ルートの左方カンテでしたが、今回はいつかは行きたいと思っていた「注文の多い料理店」に行くことにしました。
注文の多い料理店・・・開拓者は春日井山岳会のお二方で、極力残置物を残さないと言うオールフリーを目指した当時としては先鋭的なルートでした。
しかし、再登者はハーケンやボルトなどを残置して登る方が多く残置が目立つルートでしたが、近年有志クライマーが残置を撤去し、ビレイ点以外はオールナチュプロのルートとなりました。
宮澤賢治の短編「注文の多い料理店」から名付けられたルート名も素晴らしく、錫杖岳と言えばこの「注文の多い料理店」と言っても良いほど、自分にとっては憧れのルートでした。このルートをゆっくりと登りたいと思い、平日に休みを取ってWさんと行ってきました。


火曜日は静岡市内はかなりの雨。雨雲レーダーを見ても新穂高周辺も雨模様・・・壁が滝状態だと登れないな~と思いつつ、火曜日夜中に新穂高に到着。Wさんはグッスリ寝れたようですが、自分はあまり寝れず起床。やっぱりここまで来ると朝方はかなり冷え込みますね~
身支度をしていざ出発!でも空を見上げるとガスっていて青空は全く見えません。
どうなる事やらと不安になりながらも登山口に到着。6月にはあった公衆電話のボックスはなくなっていました。


笹に付いた水滴でズボンはグッショリ。錫杖沢出合からの急登でヘトヘトです。
「アプローチこんなにも長かったでしたっけ?」と、Wさんに言うと
「大丈夫、ここを歩いていけば絶対着くから!」とおっしゃってくれました。確かにそうなんですけどね・・・
左方カンテの取り付きを右に見ながら、水の枯れている北沢を詰めれば「注文の多い料理店」の取り付きです。
見上げると若干染み出しはありますが、ルートは乾いてそう!?青空も見えだし、日も差してテンションMAX!


先行パーティーはもちろんいなく、日差しが当たるまでゆっくりと準備をします。
Wさんと自分でどのピッチを登ろうかと相談したら、「最初の出だしと最後は俺がやるよ!」との事。
3ピッチ目の核心は自分がやりたいと思っていましたが、4ピッチ目のトラバースがイヤだったのでWさんにお願いしようと思っていたのに!
自分の思惑と違って残念・・・でも、朝一のクライミングって体が硬くてイヤなので、Wさんが1ピッチ目Ⅳ級のリードをやってくれて助かりました。


2ピッチ目Ⅴ級もWさんが行ってくれました。このクラックを左上していくのが怖いったらありゃしない!
斜めのクライミングって怖いんですよね~スタンスもあまりないですし。


Wさんが、1ピッチ目と2ピッチ目の途中までリード。
2ピッチ目の途中から3ピッチ目核心のハングに取り付きます。
このハング、グレード的には5.9との事ですが、見上げるとどうやって越えるのだろうと考えてしまいます。5.9ってUIAAのグレードで言うとⅥ級なんですよね~Ⅵ級って日本のアルパイングレードの最高難度!
取りあえず登って、4カムを決めてアンダーで取ってみると、アンダーがあまり効かない!オマケにアンダーで取ると、頭をハングに押さえつけられてしまって身動き取れず・・・
細かいスタンスで立って、カムを少しづつずらして右に動けばハング終了~出口でもう一つ4カムをセットしたら、上部でランナウトしてしまいました。ハングは4カムと3カムでセットした方が良いかな~


Wさんも苦労しながらハングを越えてきました。ハングから上はレイバックをしながら登ったりフェースを登れば快適です。


そして写真を見て自分がやりたくなかった4ピッチ目!
上部の出口をトラバースするのがイヤらしいんですよね~ここで今回購入した5カムの登場!5カムってこれから使う機会ってあるのかしら???
4ピッチ目の出だしにセットしましたが、ランナウトに慣れてくれば5カムはなくても良いでしょう。Ⅴ級+ぐらいなので怖くても落ちる事は無いかな?


4ピッチ目の出だしからWさんの写真を一枚。このお地蔵テラスはハンギングビレーになるのでちょっと怖いです。高度感も抜群ですね~


クラックを登って、終了点手前のトラバース!やっぱり怖いトラバースでした。足が長くないとスタンスに乗れない!?かも。他の登り方があるのかもしれません。


5ピッチ目!ようやく注文の多い料理店最終ピッチです。右のクラックはハンドからフィスト、左のクラックはフィンガーです。自分はホールドは左のフィンガーを使ってスタンスは右のクラックで登りましたが、Wさんは右のクラックに左足を突っ込んで、右足はフェースを使って登ったようです。その方が簡単と言っていました。


5ピッチ目のクラックから上は草付やハイ松帯です。右からの左方カンテのルートを見ながら、終了点に到着して終了~!注文の多い料理店はこのテラスで終了ですが、Wさんが、左方カンテの最終ピッチの上に展望台らしいものがあるというので、行ってみる事にしました。


6月に来たときは自分がリードで登りましたが、「最後の締めは俺がやる!」と言う事でWさんがリードで登りました。
なかなかホールドが細かくてフレークは剥がれそうで怖いとの事!左上にあるフレークはいつか剥がれ落ちてしまうと思います。


前回終了点だと思った所からさらに少し上がれば、平坦になって大展望台!
この景色は素晴らしい!焼岳から西穂高岳、奥穂高岳、北穂高岳、唐沢岳、そして槍ヶ岳!
天気も良く、風も冷たくて気持ちいい!最高の終了点ですね。


注文の多い料理店を登りきった充実感からWさんとここでガッチリ成功の握手をして記念撮影!
石の上にカメラを置いてセルフで取りましたが、なかなか良く撮れました。


懸垂下降4ピッチで取り付きに戻りました。
最後のピッチで広いテラスだったので安心してしまったのか、セルフを取る前にビレイ器を解除してしまいました。危ない危ない!もしここでふらついたりして30m下まで落ちたら大怪我か下手をすれば死んでしまいます。初歩的な事を忘れずきっちりやらなければと思いました。


自分達が下山開始すると先程まで青空快晴だったのに、いつの間にかガスってしまい曇り空になってしまいました。
今回も!?天気に恵まれてクライミングをする事が出来ました。

帰路「ひらゆ温泉」に入ってから帰途に着きました。

目標であった「注文の多い料理店」を登る事が出来て感無量!やっぱりオールナチュプロっていうのが良いですね。残置が無いと不安と思うかもしれませんが、そう思う人はこのルートは登らない方が良いと思いますし、人が打ったハーケンやボルトを信じて登るクライミングは止めた方が良いと思います。と言っても日本のほとんどのアルパインルートはハーケンとリングボルトだらけですが・・・
あと人が多く入るルートで問題になるのはキジ場ですね。ここ錫杖もペーパーの残骸が沢山ありました。
生理現象なので仕方がありませんが、大便はせめて穴を掘って埋めるか石で隠すようにして、ペーパーは持ち帰って貰いたいものです。岩場は良いルートなのに、ペーパーの残骸を見てガックシでした。
お互い気持ち良く岩場を登りたいものですね。