冬季クライミングの予定だったが・・・凍結・鹿の飛び出し・止まらない!

12月28日 6:00集合~小渕沢みちの駅へ向かうも
中央高速から見える領域に稲妻が走る、嫌な予感。
ここより三台に分乗して美濃戸口へと向かう。
ヨドバシ研修の看板を過ぎて左に曲がる下り坂辺りで事故発生。
 
最後尾の私の目の前で、一瞬、中間車両が横揺れのような変な動きをした途端、つつーと真っ直ぐに電信柱に向かっていった。 ここからは映画のワンシーンのように鮮明で全てがスローモーションのように見えた。
大きな破片が宙を舞い、光る破片が飛び散っている。
タイヤがバーストする音、運転席の影が動き、前部が路上に戻り捩れたと思ったら後輪も電信柱に突っ込んで、
右側の前後輪が側溝の中をジェットコースターのようにガラガラ走っている。
動きが止まったとこで人影が動いてくれたのでホッとした。
 
車は、自走不能であることは誰の目にも分かったが、反動で左側へと転がりだしたら別荘が並んでおり大変なことになったかも知れないから側溝で止まってくれて不幸中の幸いだったと思う。
事故処理と言っても自損事故だから、もはやレーカー移動しか、我々に選択する術は残されていない。
彼を一人、置いてきぼりにするのは忍びないが、我々は11時ぐらいだったろうか移動することにした。
 
今日は、一路、赤岳鉱泉のテント場にたどり着いて設営、夕食の仕度に取り掛かるが、かなり吹雪いてきた。
遠くでゴォーと風が渦巻く音が聞こえる。 今夜から荒天模様だから稜線に上がるプランは変更だろう。
 
12月29日 朝から悪い、風が強くガスっている。http://picasaweb.google.com/lh/photo/V0-Ac9nujRuH3IXkuCyfPg?feat=email 
ルートを変更し、ジョウゴ沢のF2からゴルジェを抜けて大滝に向かうことにした。
前に会山行でF2に来た時は何も氷が発達してなかったので意味は無かったかも知れない。
F2を登り、アップすると更に風が強い、特にゴルジェ辺りでは-18℃ぐらいになっている。
風を遮断できない頬骨辺りが刺すように痛くなってきた。 乙女の滝がきれいそうだ。
大滝にたどり着くと、結構の氷があり楽しめそうだ。 ここで本式に皆で登る練習をしたが結構楽しかった。
今日の予定は、テント撤収し、中山乗っ越しを超えて南沢大滝の近くにテントを移すことになっている。
5時前には天場と設営が完了し、夕食を済ませ8時ぐらいには休もうとしたが、サーモマットレスが無いのでロープの上で寝るが、2つ日間とも寒くてよく寝れていない。
 
12月30日 南大沢滝   http://tinyurl.com/26cl95o
天場からアプローチし易く、この天気では稜線に抜けられない為、たぶん大勢の方がやってくるに違いない。
氷解が進んでいてアックスが弾き返されもせず、お借りしたリーダーの改良ミゾーが面白いほど刺さるし、何よりも軽いのが武器だね。 
隣のルートでは、一瞬の間に、上手な方がかなり落ちたがビレイの女性は止められるのか?心配になったし、アイゼン捻挫は起こらないか?爪先から引っ掛けるように真っ直ぐ流れ、ロープが伸び切って止まった感じだった。
こんな時でも頭の中は、この二日間で冷え切った体を温泉で休めることしかない。
結構、良い時間になったので天場を撤収する為に下山することに・・・・・
ここから意外と近いか? この下山時、何事も無かったかのように一瞬だけ晴れ間が広がったの束の間、この後結構の量の雪が降り出してきた。 赤岳鉱泉駐車場へと辿り着き、美濃戸口へと向かい3時位には下山できた。
車は30cm以上は雪が積もっている。 ここも十分に標高が高いし、雪が結構降り出してきた。
そう後は温泉だけである。 腹ごしらえ、あったかい温泉を十二分に堪能してスッキリさわやか!なはず。
鹿の湯からはなだらかな下り坂、氷点下10℃凍結したロードを40kmで走り出すと何やら黒い影が・・・・
『ライトアップしとけば良かった』 二頭の鹿が目の前に迫り目と目が合う。 必死になって避けようとしたが右側のバンバー&フェンダーで撥ねてしまい反動で側溝に片側両輪がガラガラ音を立てて車が傾いて停まってしまった。 すぐにドアーを開けて『ばかやろー』と言ったが、鹿には”しかとされ”去って行った。
 
富士見平の現場にて;
現場を通過する車両の方々に頭を下げて、事情を話しお願いして、6人確保出来たが、
足場は勾配で悪く、側溝は深く、車を人力で戻すのは不可能だった。
駄目だこりゃーと言うムードの中で一時間の格闘劇が始まる。
ジャッキをお借りして側溝に嵌った前輪から持上げることにした。
必死にジャッキアップした。 フロントバンパーの下に一台、タイヤの前後に二台、三つをローテーションで上げ巻くって段々と路面に近づいて来た。 このまま巧くハンドルをきってタイヤ仰角の角度と、後輪軸を基点に円弧を描く様に綱で引っ張る事を考えた。 でも・・・そうすると一回勝負でジャッキが倒れる。 その時にタイヤが路面を噛まなければ全てが台無しになるけど、やるしかない。
斜め前方から綱で引っぱってもらいながら、自分は車のエンジンを吹かして、サイドには人力でスタンバイ!
こうして、やや強引であるけど前輪が路面に乗ってくれた時は嬉しかった。 全員に安堵が毀れたと思う。
後は後輪だけ、同じようにタイミングを合わせて、タイヤが噛むようにやって頂いた。
 
私は何をしに来たのか?! と言うぐらい疲れきってしまいましたが、本当にご助力を頂きましたドライバーの皆様方へ、この場を借りてお礼の言葉を書き記したいと思います。
『本当にありがとうございました!!! 静岡労山 奥山耀規』
 
※皆さん野生動物、凍結路面、本当に注意しても避けれないかも知れませんが、まずはライトアップしましょう!