眼底出血・プチ肉離れ・それなら穂高岳に登ろう。

小川山、小川山、城山とクライミングが続き522日の山伏以来登山をしていません。クライミングの疲れは神経疲れと一部筋肉の疲れ。登山とは別モノです。そろそろ山登りしたいと思い、岳沢小屋の64日のブログを偶然見つけた。
 
「重太郎新道登山道はまだまだ手強いですよ。」「ピッケル・アイゼンの冬装備はもちろん、それを使いこなす技術が無ければ足を踏み入れることはご遠慮下さい。」と写真と共にブログアップしてあります。
 
沸々と闘志が沸いてきたが、オールド西南カンテで無理な姿勢でセカンドをピレイしたので、昨年GWの穂高での脹脛肉離れの嫌な感じが少しでた。まあ一週間あれば何とかなるさ。
(プチ肉離れ)
 
・・・と水曜日突然ですが右目が良く見えない。薄ぼんやり、視野欠損もある。ストレスかな(笑ってはいけない)。
 
・・と木曜日さすがに心配になり、眼科に診察に行く。「眼底出血です。まだ悪くなるかも知れないし、そのまま治るかもしれない。」とのこと。車の運転も鬱陶しい。副作用の強い薬をもらう。手の痺れ、下痢がかなりの頻度で出るらしいが世の中にこの薬しかないとのこと。・・・心が折れた。穂高どころではないのだ。
 
・・と金曜日、薬の副作用無し。目の見え方にも慣れたのか鬱陶しさは無く、視力も少し回復、視野欠損は相変らず。そして、ヤマテンの天気予報を見ると槍穂方面は9日の日曜日は乾燥した空気で一日中晴れ予報。①これは上高地までなら良いだろう。②それなら前穂高までならなんとかなるだろう。③ならついでに奥穂高まで絶対行ってやる。(忍者流三段活用でした。)という心の流れで準備を始める。
 
計画は土曜日は岳沢小屋泊(軟弱にもまた小屋泊)。翌日曜日、重太郎新道を使い前穂高へ、その後吊尾根を経て奥穂高岳へ、帰りは往路引き返して上高地まで下り、静岡にてNHK「八重の桜」を見る。

していきなり岳沢小屋です。
 

 

中央奥に霞沢岳が見えます。

 中央に冬ルートに奥明神沢です。上高地から岳沢小屋までは途中雪渓のルートも赤布付き竹が親切丁寧に刺してあり、どうぞ良く来て下さいましたと言う感じだが、重太郎新道は案内皆無。行ける人勝手に行って下さいと言う感じ。小屋から広い雪渓を登るのだがもちろん目印もなく、プチバリエションかよ。と思うのであります。幸い昼過ぎには小屋に着いたので何人か下ってくる人のルートと話しを聞くことができたのでまずは安心。写真の奥明神沢の左の尾根が重太郎新道なのだが・・。

中央に乗鞍岳、右に焼岳が見えます。本日の宿泊者7名。奥穂まで行き涸沢ルートで下山する外人さん。南稜に登るグループ。岳沢が最終目的地のカップル。この天気なのになぜ、皆登らないのだろう。やはり、ブログの脅しが効いているのだろう。

西穂高が良く見えます。もう少しで紀美子平です。

雪渓があるごとにアイゼン・ピッケルを出し、トラバース・直登後また仕舞う。この作業を奥穂高山頂まで5回やりました。さらにピッケルのみは2回行いました。距離が少ない所のトラバースではアイゼン大袈裟かなと思うが、斜度がかなりあるので数メートル歩くと正解と分かる。往路は雪質が締まっておりアイゼンが良く効き楽しい。基礎に忠実に谷側の足を谷向き45度前後に運ぶと気持ちよく効く。この厳しい斜度だと理屈抜きによくわかる。そして写真の様に終了点がわからない。帰りのことを考えて、持参した赤旗をスタートして数m地点に立てて、とりあえず真横トラバースする。して登山道らしき所を探しなら行く。

 
復路は逆に雪面が緩みアイゼンが効き辛い。ノートレースでも登りなら2本前刃キックステップで容易だがトラバースだとひとつひとつ足場を作るにも時間かかる。結果、f復路では谷側の足の角度の最適化と完全なフラットフィットを行わないと30cm位滑る。冬山の雪面は斜度はあっても平滑だが、雪渓なので凸凹している。雪質、雪面、斜度ともに性質が悪い。侮どってはいけない6月の雪渓。小屋番のブログは唯の脅しではなかった。

前穂高山頂です。誰もいません。下の紀美子平で涸沢から来た方一人にお会いしました。吊尾根の状況を聞いて出発です。

前穂山頂より遠方に槍を見る。

紀美子平より奥穂高を覗く。

あともう少しで奥穂高。

奥穂高山頂です。ジャンダルムを覗く。

奥穂山頂なら誰かいると思ったが残念。神様も寂しそう。

笠ヶ岳が見えます。

前穂高北尾根4峰が中央やや左に見えます。さあ静岡に帰ろう。復路はまたアイゼン・ピッケル出したり仕舞ったり、道は分かるのですが、大きな雪渓になると何処からトラバースに入ったか不明で、よって自分のあるはずのトレースもよくわからない。朝は締まっていたので大したトレースもつかず、昼になって溶けてわかるはずもないが。
 しかし、無視して半分も進めばなんとか持参の赤旗が確認できたので、無駄な時間ロスを無くすことができたのと先程述べた様に雪渓の性質が悪かったので、その中で登山道を捜すのは遠慮したい。(練習にはなるが滑落したら誰もいないので仏様になってしまう。)
 
そして岳沢小屋到着。年配の小屋番の方に『デポ荷物預かって頂きありがとうございました。そしてご期待を裏切って申し訳なかったですが奥穂高山頂まで行ってきました。』とあいさつ。この年配小屋
番、私が朝600出発する時にどこまで行くのかと聞き、奥穂高までと言ったら『無理ですね。こんな遅くに出発では、夏でももっと早く出発するのに無理。』とおっしゃる。その時は登山道の状況がわからんので、そんなもんか位に考えていたが、もどって来て要は安く見られていたのがわかった。人を見る目がない小屋番。いや頼りなく見られる自分が悪いのか、ここは思考停止しましょう。
デポ荷物をデッキで整理していて隣の若い兄さんたちはコブに明日行くと言っておりました。南稜といい、この時期バリエーション組が多いのかも。私も早くバリエーション組みに入る様クライミングスクールをがんばらねば。
 
と思いながら下ると上高地。シャトルバス最終バスにはアウト。島々行き最終バスにのり、新しくできた沢渡バスターミナル前市営第三駐車場に降りる。ここは良い。トイレも広く綺麗。2300に自宅着。残念ながら八重の桜に間に合わなかった。
 
by忍者君