城山南壁で事故に遭遇

4/24は、リュウのリクエストで城山南壁のマルチルートを登りに行ってきました。


ところが・・・


今日は楽しく登ったことよりも、事故に遭遇し改めてクライミングの危険性を目のあたりにした日となった。


この日の伊豆の空はどんよりした雲り空。
昨晩降った雨の影響で、立ち木があるテラス下の壁は染み出しがあるコンディションでした。
南壁には、我々4人のパーティーと、4人の1パーティーのみ。

朝一番、まず取りついたのは看板ルートの一つ、バトルランナーをリュウとつるべで登りました。



▲2P目の鎌形ハングで手を振るリュウ。オンサイトなるか?


体を持ち上げて抜けるか?と思いきや、惜しくもフォール。鎌形ハングは、そんなに甘くなかった?
私は2回目の鎌形ハングでしたが、今回もセカンドで登って上から引き上げてもらいました。


この2P目を登っている最中に、無情にも雨粒がぽつぽつ落ちてきて、すぐに止みはしたが、ここは安全優先で撤退。
下にいるパーティーが壁に取りついているので、落石させないよう鎌形ハング上の終了点から懸垂下降しました。
しかし、懸垂中に私は浮石でなく、財布を落とすハプニング・・・札束が、ひらひら宙に舞ったとか?(嘘です)
財布をケツのポケットなんかに入れちゃダメです(下が谷底じゃなくて良かった。)。


天気が今一つはっきりしないので、マルチルートを行くのは諦め、休憩をはさみながら、午後はのんびりと、各自登りたいルートに取りつきました。



リュウは「フルハムロード」、私はその左の「鎌形ハングルート」をチャレンジ。


そろそろ終わって温泉でも行こうか?と話をしたところで、リュウがヌンチャクの回収で壁に取りつき、彼をビレイしている最中に、


その事故が起こった。


お隣のルートをリードで登っていた別のパーティーの女性が1本目にクリップ、
そこから約2、3m上の2本目のクリップに差し掛かった時に、フォール!


テンションがかからず、背面から倒れて体が反転し、頭を下に向けて墜落しました。
岩に叩きつけられたヘルメットの鈍い音が岩場に響き、一瞬凍りついたのを今でも覚えています。
グランドフォールにはなりませんでしたが、1本目のピンの下は緩やかなスラブ(というか、テラス)になっており、そこに右肩と後頭部を強く打って止まった。
そして後頭部からは出血が・・・


落ちた距離は約8m、テラス状のところに頭はあったので、ほとんどグランドフォールに近い状態でした。
直ぐにクライミング中のリュウにセルフを取ってもらい、ビレイ解除してクライミングを中断。
今回ご一緒していた、Iさん、Nさんもすぐに駆けつけてくれました。
痛みでうめく女性。


幸いにして意識ははっきりし、足は大丈夫のようで、補助しながらも自力で岩場から離れることができた。
当事者のパーティーの方に、直ぐ救急車を呼ぶよう伝え電話してもらったが、
登山口やゲレンデの場所など地理的なところを消防側にうまく伝えられないようで、私が代わりに電話に出て、登山口の場所と負傷者の状態を説明。
Nさんは壁の上にいたリュウを降ろし、Iさんは怪我した女性のそばについて止血手当てと、雑談話で本人を落ち着かせていました。

こういうことは、動揺している当事者側よりも、第三者のほうが冷静に判断して動けます。


事故が起きて、およそ15~20分くらいでレスキュー隊到着。無線連絡が飛び交う物々しい空気がゲレンデに漂った。
そのレスキュー隊が負傷者を山から下ろして去った後、ハーハー言って汗だくで登ってきた小太り警官がやってきて、ビレイヤー本人、私達にも事情聴取した。
どこを登ってどこに落ちたのか?、命綱していたのか?とか、どうして落ちてしまったのか?など・・・
警官はクライミング知識が無いようで、負傷者はトップロープのような状態で登っていたと思ったらしく、リードとか、ビレイという用語を言っても通じないので、そこは話上手なIさんが、100岩のトポを見せながら、一生懸命理解しようとする小太り警官に優しく説明をしてあげていました。


その後、女性はどうなったかはわかりませんが、幸いにも意識があり、最悪の事態にならなかったのが救いでした。
ヘルメットをもし被っていなかったら・・・と考えると本当にぞっとします。


このような事故がなぜ起きたのか?あの場面で、リードやビレイヤー、その周りはどんなことを注意しないといけないか?など、いろいろ考えさせられた事故でした。


ビレイヤーとして注意しないといけない事。
2ピン目をクリップするまでは、できるだけ壁際でビレイし、リードする側との距離を縮める。
ロープをたるませ過ぎない。
確保器でロープを確保していない側の手(ほとんどの人は左手)は、できるだけ上にロープをさし伸ばす。
リードが落ちても、振られない引きずられない位置につく。
脇見しない(核心越え、ピンをかける瞬間は特に)。
リードが逆クリップしてないか?とか、ロープが足に絡んでいないか?注意を促すなどなど・・・


ビレイヤーがこういうことを怠っているようであれば、 他人だろうが、先輩後輩、歳の差関係なく、周りは注意してあげるのも必要(私も結構注意されてます)。
リードする方も核心部では「落ちるよ~」とか言うと、ビレイ側もそれに備えて緊張するものです。


クライミング歴1年の私が、経験も無いのに、こんな講釈を述べるのはなんだかエラそうでイヤですが、今回身を以て実感したこと(何度もあっては困りますが・・・)を風化させないよう、 偶然にも事故を目撃してしまった本人として、怪我された方には申し訳ないですが、その話を書かさせていただきました。


会のみなさ~ん。事故を起こさぬよう、お互い気を付けましょう!

by もりっし-