前穂高(奥明神沢・ダイレクトルンゼ):前編

 4/29、30、5/1と奥穂高南稜を計画していましたが、4/27の予報で4/29に400mm雨まじりの大雪で30日天気回復するも、-12℃と冷えるとの情報があり、雪崩やアイスバーンの厳しい状況が予想される。最近大都会東京から四国の住人になったメンバーに『やばいんじゃない』と神のお告げがあり、計画は延期となりました。

 
 30日は、晴れでしたが16:00から天気が崩れました。その時にコブ尾根(岳沢から北西に延びる尾根)の最終地点のジャンダルム直下にいた2組7人が遭難。2晩ピバーグ後の5/2朝に救助されました。30日に同じコブ尾根のガイド組は雪量の多さから途中で断念し引き返しました。的確な判断。

 
 コブ尾根の場合、岳沢からコブ尾根を登りジャンダルム直下の主稜線に出てからさらにその主稜線を天狗のコルまで下り、そこから天狗沢を岳沢まで下るロングルートでエスケープが難しい。南稜(岳沢から北に延びる尾根)はそれでも、奥穂山頂から北側に降りれば穂高山荘があるので、逃げやすい。この南陵ルートは吊尾根を下り、前穂高沢を下山するが、吊尾根が核心らしい。

 さて、それから5/5をアタック日として計画を練り直しましたが、5/4・5/5と山頂風速は25~30m/Sと予報が出ており、これはもう無理と判断。紆余曲折を経て、5/4に岳沢で雪上・支点設置訓練と5/5に奥明神沢で途中引き返しの計画をたてました。

5/4、河童橋より、岳沢方面(つまり奥穂高)を望む。

岳沢小屋に到着。テントを張ろうとするが風が強い。メンバーの視線は小屋に向かっている。心にテントを張って、体は小屋泊になりました。(要はガッツがないが、メンバー皆無い為問題にはならないのだ。)上の写真は南陵。トリコニ―の3ピークが良く見える。そして、滝沢の大滝が流れているのが見える。この時期、この落差で流れている。しかも強風で滝の飛散が目視できた。

 さて、雪の支点作りの練習です。

上の写真は自作のスノーバーです。青く張ってあるのは、スキーのシールです。このバーすべてを雪面深く刺し込みます。シールが効いているので、人力で抜くのはできない。1本で懸垂下降ができたが、試しに滑落想定したショックを与えたら、バーがいきなり倒れて15m程そのまま滑落してしまった。雪が締まってないので、保持できないのだ。
 
これは、土嚢に雪を入れてシュリンゲで絞めて、雪の穴を掘り入れる。結び方が今一つ悪いが、懸垂姿勢で滑落ショックを5~6回程与えてようやく穴から袋が出そうな写真の状態になる。 これは、この雪質でも効くのだから、締まった雪では相当だ。
 

 これは、O澤さんが作ったスノーボラード。これは、かなり効いていて、懸垂ショックにびくともしませんでした。
 スノーバーは、セルフやセカンドビレイ用支点やトラバース支点。土嚢・スノーボラードは、懸垂用支点かな。まだ、いろんな雪面での研究の余地があります。
 

 これは、スタンディングアックスビレイです。力よりバランスが難しい。でも、意外と保持できたのでこれは有効です。

(後編に続く)