2024.8.10-12 槍ヶ岳西稜 アルパインクライミング

8/10-12の3日間、槍ヶ岳西稜ルートへアルパインクライミングに行ってきました。今回はユータとアリサの2人です。

8/10からの夏休み期間に何をやろうか…遠征登山かアルパイン?直前まで計画が決まらず、天気予報や山小屋の空き情報をぷらぷら見ていたら、槍ヶ岳の山小屋に空きが出ているのを発見!これは槍ヶ岳アルパインに行くチャンスだと思い、急遽計画を立てました。

槍ヶ岳西稜ルートは、小槍の西面から4ピッチで小槍へ登り、継続してひ孫槍、孫槍、大槍山頂と登るアルパインルート。小槍西壁は意外に大きな壁で、上部には核心部となる「くの字ジェードル」というクラックが走っており、3000m級の高所で5.8~5.9ほどの難度のクラックが楽しめます。また全体を通して残置支点が少ないためナチュラルなクライミングが楽しめる、内容の濃い人気ルートです。

ここはアリサが行きたかった目標ルートの1つ。今年の7月に、下見のつもりで小槍南面を2ピッチで登るプチ計画を立てましたが雨で流れ、できればまた計画したいと思っていました。

今回小屋を予約したとき、私の頭には小槍南面よりも槍ヶ岳西稜ルートが横切り、入念な下調べを実施。その結果、私たち2人でも安全に行けそうだと判断し、今回は槍ヶ岳西稜ルートへ行くことにしました。

くの字ジェードル下部のワイドクラック(※画像はお借りしました)

初日8/10 深夜、沢渡第3駐車場に到着🅿️ まだ下段は少し空いてましたが、3時に仮眠から起きた時には既にほぼ満車でした 。タクシーで上高地へ向かい、5時過ぎに出発。

朝の上高地は靄がかかってきれい

 

今日の目的地はヒュッテ大槍です。登攀道具を入れてザックの重さは15㎏くらい?黙々と歩いて8時半前に横尾に到着。上高地から槍ヶ岳に登るのは初めてで、 ここから先は未踏の地です。 槍沢ロッジを過ぎ、ババ平へ。ここからは山肌に滝が何か所か見え、とてもいい雰囲気でした✨

ババ平のテント場

 

ババ平を過ぎてから水沢までの登りは日影がなくてとにかく暑い…ペースが上がらず、汗が滝のように出ます🥵殺生ヒュッテとの分岐から最後の登りを頑張ってヒュッテ大槍へ到着 。歩きだけでかなり疲れてしまいました。今回は小屋泊にしたのでよかったですが、体力がもっと必要と思いました😇

 

ヒュッテ大槍の手ぬぐい。3種類コンプリートです
おしゃれな美味しい夕ご飯!ワインがついてきました

ユータは、前からずーっと欲しかったヒュッテ大槍の手拭いを買えて満足のようす🌟 ご飯も美味しく、寝床も半個室で快適です。また泊まりたい山小屋でした。

小屋で一緒になったお子様連れのお父さんが、ロープを持っていた私たちに話しかけてくれ、夕ご飯の間はずっと山の話で盛り上がっていました🌄明日の小槍登攀も応援してもらい、士気が上がりました😃

 

2日目 4:30ヒュッテ大槍を出発。景色がきれいです。

 

東鎌尾根を登っていくと夜が明け、大槍が目の前に見えてきました。左手に見える槍ヶ岳山荘を目指します。

6:10槍ヶ岳山荘に到着。ここで登攀準備を整えてからアプローチ開始。山荘前のヘリポート脇を左に降りてゆき、慎重に岩稜帯をトラバースします。

画像左にある登山道との分岐を左へ進む
岩稜帯を左へトラバース
この岩を巻いてゆく
小槍が見えてきた
ここの下りは要注意⚡写真左に見えるトラバース道は南面へつながる道

 

小槍の前まで来たらガレ沢を下ります。ここのガレ沢は急斜面で、足場も浮石だらけで特に悪く、非常に神経を使いました。のちに1P目を登攀中にガレ沢からものすごく大きな岩雪崩の音が聞こえてこわかったです🫢(後続パーティの方がアプローチ中だったようです)

 

その後、取付きまでトラバースします(一部ロープを出しました)。

先行パーティの方々
ここのトラバースでロープを出した
取り付きは安定したテラス

7:30小槍西面取付きに到着。壁はすでに1パーティが登攀中で、取付きの2番目パーティの方を少し待ってから7:45登攀開始🧗

今回はユータとアリサがつるべで登ります。小槍の4ピッチがクライミングの強度があって面白く、以下のような内容でした。奇数ピッチはアリサ、偶数ピッチはユータ担当。

小槍 4ピッチ

1ピッチ目、支点のあまりないスラブを登ってから小ハングを越える。ガバホールドを叩くとやや軽い音がするような…大丈夫かよく確かめてから、一気に乗越した。ハングを越えた後は浮石が多かったので落とさないように注意した。終了点で上部からの落石あり

2ピッチ目、凹角を登る。トポには簡単と書いてあったが、先行パーティも時間がかかっているようすで「???」だったが、行ってみると意外と壁が立っていて緊張感があった。ユータ、ナイスリード👌

3ピッチ目、核心の”くの字ジェードル”は染み出しがあって嫌な感じ 。支点は残置ハーケン等がたくさんあって使用できた。下部のオフウィズスクラックを奮闘して突破し、上部のシンハンドくらいのダブルクラックを抜けて終了点へ。無事ノーテンで登れてホッとしました😮‍💨セカンドのユータは一瞬A0したものの突破し、元気な顔で上がってきた😃

4ピッチ目、高度感のあるハングをまいて小槍頂上へ。

 

 

1P目
2P目 凹角
3P目 くの字ジェードル
くの字ジェードル上部を登攀中
小槍の山頂 アルペン踊りしたい気分?

 

小槍山頂に着き、まずは核心突破できた達成感で安心しました😊小休止をして曽孫槍の取付きへ懸垂下降。

小槍からひ孫槍とのコルへ懸垂下降
小槍、高度感があってかっこいいです

ここから先はⅢ~Ⅳ級ほどの岩場が続きますが、とにかく浮石が多いので怖かったです。

ひ孫槍 1ピッチ、アリサがリード。大槍までの全ピッチの中で一番浮石が多く嫌なピッチでした。写真なし。終了点構築中に、ロープの通り道にある危ない浮石を手でどかした際に小指を岩の下敷きにして負傷😢とりあえず今日の登攀に支障はありませんがメンタルが弱りました…おなかも減った。

孫槍 2ピッチ、疲れたアリサを見かねて2ピッチ続けてユータがリード。 頼もしいパートナーに感謝!時々ハズレホールドがあるものの割と快適に登ることができたようで、トランシーバーで「今日イチ快適なピッチ~♪」とご機嫌なようす。眼下にさっきまでいた小槍が見えて、ちょっと感動🥺

孫槍からみえる小槍とひ孫槍
孫槍1P目終了点。ここでパンを食べて復活👌

 

孫槍のピークから短い懸垂下降をして大槍の取付きへ。リッジから足が外れると左右に振り落とされるので、クライムダウンしつつ慎重に。

孫槍からの懸垂下降

 

大槍 2ピッチ、アリサ→ユータの順でリード。一般ルートと並行して、槍の頂上へ抜ける。槍の頂上に先に着いたユータは、「小槍の上でアルペン踊りはしたのか?」と3人くらいから質問されたそうです笑 

大槍は登山者の行列
槍ヶ岳西稜ルート、完登です

景色はガスってしまったものの、完登できて満足です。 山頂で写真を撮って、あとは一般登山道で槍ヶ岳山荘まで下りました。 無事登攀を終えて、一安心 。一般ルートから登攀を見ていてくれた方から、おめでとうと声をかけられ嬉しい気持ちになりました😊 とても良い山の日になりました。

安心した気分で眺める大槍

 

3日目は早く帰りたいので朝4時にそそくさと下山開始。上高地は観光客で激混みでした。バスは2時間待ち⁈ということで、待っていられないのでタクシーで沢渡に向かい山行を無事終えました。

 

天気にも恵まれ、内容も充実した大満足の山行でした。目標だった槍ヶ岳西稜ルートが思ったよりも早い段階で登れて、今は燃え尽き症候群??しばらく余韻に浸ります。。

アリサ・ユータ