乾徳山、旗立岩中央岩稜

山梨県の東部、奥秩父にある乾徳山(けんとくさん)。その山頂付近の岩稜には、古くからクライミングルートがあるとのことで、この日の2週間前にも、トコロ会長と会の皆さんがこの岩場へ訪れているのだが、ルートの取付き場所を探すのに時間を費やし、1ピッチ目だけ登ってタイムオーバーとなり、結局撤退したという事だった・・・。
そんな訳で、トコロ会長が「乾徳山をリベンジする」と言うので、私も便乗させていただく事に。メンバは、トコロ会長に県連会長TKMさん、NSGさん、MZNさん、そして私モリッシーの5人。TKMさんと私以外は前回メンバなので、今回は安心しきって無事岩場まで取付ける!と信じているが、さてどうなるか?

5人を乗せたTKMさんの4駆のクラウン?は、大平牧場の有料Pから更に山奥へ延びる未舗装の林道を、ズリズリ腹を擦りながら登山口へ。
昨日は、リニア問題の件で「この車で(東俣林道を通って)二軒小屋まで行ってきた」との事だったので、もう怖いものなしなのだ。
 
 前回はこのタイミングであああああああああ!という声があったが、今回は、あっという声があった。TKMさんがカメラを忘れた。忘れ物の内容にふさわしい、あっであった。
 

 


 

9時半頃、登山口を出発。標識には「山頂まで2時間30分」と書かれてる・・・

ってことは、岩場に取り付けるのは、お昼頃になってしまうのね~。

 

 


 

しかし、山はすっかり秋の気配ですな~。空気は冷ややかで歩きやすい・・・

と思ったのは、最初だけすぐ汗だくに。登山道には「マルバダケブキ」がまだ咲いていました。

 

 


 

単調な尾根道を歩く事1時間弱で、開けた牧草地に出た。下界は天気が良かったが、今日の乾徳山はご覧の通りのガスガス。

 

鎖場をいくつか越えて、まもなくすると、ルートに取り付く為の懸垂降下点に到着。
その降下点のあるテラスには、既に6名のパーティーが登攀準備をしていたが、
NSGさんがいち早く到着して懸垂の準備をしてくれたおかげで、私たちは先行して降下することができました。

6名が懸垂した後じゃ、恐らくここで1時間待ちになっていたところでしたので、非常に助かった。NSGさん、あざっす。

 

狭いルンゼを50mロープ目一杯使って降りていきます。

 

 

ここは落石の巣で、トコロ会長の頭の上にも大きな石が落ちそうになっていた。
お~こわ💦
 

 

▲浮石のルンゼを下降するモリッシーさんです。落石が来ることはわかっていたので、当たるような位置にはいません。

 

懸垂して更にルンゼを右方向に巻きながら降りて行き、その後は急斜面をトラバース。そして崖を登り返すと、頭上に目標ルートである「旗立岩」の基部に無事到着。前回は、ここを探すのに一苦労だったのね~トコロ会長。
早速、NSGさん&TKMさんペア先行でクライムオン。
 

 

 

2週間前にも訪れているNSGさんは、ルンゼ側から左のカンテに移るのかと思いきや、そのままルンゼ側のフェイスを直登???

 

 

 

 

 

私のトポには、1P目は「快適なカンテ状Ⅲ+」と書いてあるが、はて?どちらが正解なのか?前回もルンゼ側から登ったらしく「ハーケンがべたべたある」とのこと。でも中盤から上が悪いらしい・・・
 
今回のNSGさんは、結構スムーズに登って1Pめをあっさりと終っていました。
「ビレイ解除」の合図で1P目の終了点に無事到着したようなので、TKMさん離陸の後、私のパーティー(トコロ会長&MZNさん)も私リードでクライムオン。
序盤は易しいスラブだが、中間部のフェイスにさしかかると途端に悪くなり、思わずA0。
 
べた打ちだったハーケンもルートを外したのか?一切見当たらなくなり、良さそうなクラックもないので、少しランナウトして怖かったが、カムで取れるところが見つかり、ブッシュの細い枝にもランニング取り、少し安堵。そして、無事TKMさんのいる終了点へ。落ちなくて良かった~

 

Ⅲ+どころか、Ⅴ級くらいあったかと思います。

1P目の終了点から、フォローで登るMZNさんとトコロ会長をパチリ。

 

2週間前にここをリードしたのですが、今回はお気楽セカンドライフ~!って感じで登ったら、やけに難しく感じてしまった。ハーケンベタ打ちのところは、たぶん人工で登ったのだと思います。下からビレイしていて長考するモリッシーさんに結構悪いんだよなぁ、と思ってました。ただ、ランニングはハーケンがきちんと打ってあります。見落とすとランナウトします。

お二人をビレイしている最中、後続パーティーのリーダーが左のカンテを登ってきて、私の左頭上にあるピナクルでピッチを切った。そのピナクルには、見覚えある赤いシュリンゲが・・・

「お~、トコロ会長のシュリンゲだ!」
2週間前、撤退した際に残置したシュリンゲとビナは、ちゃんと残されていたのだった。聞けば、カンテ側はハーケンがベタ打ちだとの事・・・やっぱりトポにある通り、ルートはカンテ側か~と思ってしまったが、後の祭り。

まあ結果オーライということで。

2P目も私リード。緩やかな岩稜を登っていったが、ここは階段状で快適。
残置ハーケンはほとんど見当たらなかったので、プロテクションはカムを満遍なく使ったと思います。

2P目を登るお二人をパチリ。小ピークにいるのは、カンテを登ってきた後続パーティー。

 

▲2Pめ終了点でビレイをするモリッシーさんです。1P目に比べると、簡単ですが高度感が出てきます。

 
 

 

 

2P目の終了点は小ピークのピナクル。バックは乾徳山の山頂。

 

3P目。最後のピッチは高度感あるリッジ。左右スパッと切れ落ちたリッジを馬乗りになって通過。

振り向いて、2P目の終了点にいるお二人をパチリ。

左のテラスには、既に登攀を終えて手を振るNSGさんパーティー。

 

 

 

リッジの上で写真撮っている私を、今度はトコロ会長がパチリ。< font size=”3″>
 

 

 

最終ピッチの3P目の終了点だけ、何故か?ペツルの立派なハンガーが打たれていました。しかもすごい中途半端なところに。
欲言えば、あと倍くらい長ければ登りがごたえがあるのですが、ここまで何だかんだ2時間近くかかってしまいました。
MZNさん、トコロ会長もリッジを登ってきて、無事完登。K会長のシュリンゲとビナは、後続パーティーの方が無事回収してくれました。あざっす
ありがとうございました。

遅い昼休憩の後、せっかくなのでTKMさん、トコロ会長、私の3人で山頂まで行ってみることに。山頂下の鎖場をごぼうで登り・・・(翌日、筋肉痛)
 

そして、お決まりのハイチーズ!会社で言えば、社長、支店長、ぺいぺいってとこかな?
 

山頂側から見た旗立岩中央岩稜。後続パーティーも無事登攀終了していました。

 

時間があれば、山頂直下にある短いルートへも行ってみたいとも思ったが、雲もだいぶ下がってきて、天気が怪しくなってきたので早々に下山。
帰りは「花かげの湯」の温泉に浸かり、静岡へ帰りました。
リベンジも無事果たし、今度いつ訪れるかわかりませんが、乾徳山は日帰りできるアルパインルートとして楽しめそうですね。ハイキング兼ねての会山行にも良いのでは?と思います。皆さん、お疲れ様でした!

                                        By もりっしー
 

 

 ここのとりつきは見つけにくい。後続パーティも困ったようなのだが、我々の声が聞こえてきて助かったと言っていた。やっとハーケンを見つけた時には、もう嬉しくなっちゃってここに間違いないとりあえず問題の1Pめだけでも登っておこう、というのが2週間前。NSGさんも私もⅢ級というルートではないが、ここを登ればいい、とはなから信じて疑わなかったのが今回。後続の先頭がためらわず尾根の向こう側に行ってしまったのが不思議だったが、そちらがよく紹介されているルートに間違いないですな。大体どこへ行っても何かが起こるこの頃である…。
(トコロ)