剱岳チンネ左稜線(馬場島~池ノ谷)③

2日目(2015年8月2日)の続き・・・


最終点の「チンネの頭」でビレイ中の私。
「チンネの頭」からの下降は、懸垂ではなく歩いて降ります。でもザイル使って登ってきた岩山を歩いて降りるって、なんか複雑・・・。
ハイマツの枝につかまりながら、「三ノ窓の頭」との間のコルに降り、
1m幅しかない乗越を抜けると・・・

「池ノ谷ガリー」の下り。
へずる岩肌はもろく、浮いた岩を踏み抜くと周りの岩もろとも巻き込んで一気に下まで落ちて行く・・・
「もうここには、二度と行きたくない」と正直思った。ホント、生きた心地がしなかった・・・

岩を落とさず降りる事自体が無理なので、各自間隔を空けて慎重に下っていきます。



慎重に降りるO澤さん。見てるだけで怖い。

「池ノ谷ガリー」を下り終え、今朝登ってきた「池ノ谷左俣」に合流。正面に「三ノ窓」。
こんなデカイ岩が落ちてきたら一溜りもありません。
下部から、ガスが立ち込めてきました。雪渓に取り付くまでは、まだまだ緊張のガレ場続きです。
慎重に・・・しかしゆっくりもしていられず、この地点で17時半。
なんとか暗くなる前にBCに戻らなくては・・・。

雪渓取り付き点、ここでアイゼン装着。怖かったガレ場もここまで、そしてまたあのクレパス越えが待っています。

   

帰りも、ザイルで確保しつつ、「ファイトー、いっぱあ~つ」で飛び越えました。
なんか今朝よりも、クレバスの幅が広がって見えるのは気のせい?


あとは、単調な雪渓下り。凸凹なので前爪を引っかけないよう注意します。
今朝は無かった落石箇所なんかもありました。
しかし、この雪渓生暖かい風が吹いてきて、全然涼しくないんですよね~。
19時ジャスト、ようやくBCが見えてきた!
今朝出発した時間は4時半だったから、今日の行動時間は14時間半!いやはや長かった~
午後は、ほとんど飲まず食わずだったので、もう体はヘロヘロ。
O澤さんも体調不良の状況下にもかかわらず、持前の体力と根性でなんとか自力で戻ることができました。

全員テントに戻ると、天気が急に怪しくなり、いきなり雨が降ってきた。
いや~ギリギリセーフ、行動中でなくて良かった!



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3日目(2015年8月3日)、最終日の朝・・・

4時半起床。

古墳のようなテント場跡。

昨日降った夕立ちの影響か?今朝は少し冷え込みました。
マットレスを持ってこなかったトコロ会長、さすがに「寒かった~」と言っていた。
やっぱり、マットレスは贅沢品ではなく必需品ですよ、それにピロー(枕)も私は必需品です。眠りの快適さが全然違う。

朝食を済ませてテント撤収、6時出発。

3日目の朝も雲一つない快晴。陽が射せば今日も暑くなって、地獄の下山となりそうです。
小窓尾根の取り付き点、再び急登。

この登りの後は、危険な下りが待ってます。

「池ノ谷」もこれで見納め。
陽が射し始めると、下山中はもうあづぐであづぐで(暑くて暑くて)溜まりませんでした。
体調不良のO澤さん、再び熱中症状で相当参っていたようですが、なんとか自力で下山し3日間の山行が終了しました。

自分にとっては冒険に近い山行でしたが、とても貴重な体験をさせていただきました。
やっぱり剱は想像以上にすごかった!そして素晴らしかった。
天気に恵まれ、悪路も比較的スムーズに行けたし、初めての剱にして登攀できたことは、すごくラッキーな事だと改めて感じてます。
月も出てたし・・・自分にはツキがあると信じたい。


トコロ会長、O澤さん、誘ってくれてありがとうございました。

~おまけ~

せっかく富山まで着たのだからと、お土産は「マス寿司」を買っていこう!と入った店がコチラ。


創業100年以上の老舗「ますのすし本舗 源」が営む「ますのすしミュージアム」という店というか、
工場見学もできる観光名所なのでした。
「マス寿司」は私苦手なのですが、うちのカミさん大好きなのでお土産に一つ買っていきました。
報告者 M下

 前泊ありの2泊3日で番場島から池の谷経由のチンネ左稜線でした。初めてチンネに登るのに4年かかりました。天気が悪くて計画倒れのためです。この時は、剣本峰を越えて三の窓からでした。2年前の9月、池の谷を使ったらアプローチが簡単になるのかな、と思い計画しました。天気はよかったのですが、池の谷は荒れていました。最後のところでルートを間違えて、戻ってきました。今回は意外とあっさりと終わってしまった、という感じがします。それなりにきついし危ないのですが、印象としてはそうです。やはりこのルートは体力的には易しいと思います。特に今回は雪渓が繋がっていて順調でした。クライミングも私としては前のときより落ち着いていました。鼻をフリーで抜けることと池の谷から行くということが終わってとりあえず、ホ!(トコロ)