南アルプス深南部・不動岳北東尾根(ヒコーキ平尾根)その①

2010年5月2~4日

寸又左岸林道

今年のゴールデンウィークは何処に行こうか?
昨年行った槍ヶ岳北鎌尾根の北アルプスデビューで北アの優雅な山容に魅了され、今年も北ア明神岳にでも行こうかと計画していました。
明神岳東稜について調べていると、溢れるぐらいのネットでの情報・・・

「そんなルートに行ってみたいのか?」、「いやいや、明神岳だって一般登山道がない山じゃないか?」

自分の中で自問自答し悩んでいましたが、本来自分が求めていた山は人が入らない山と言うことを思い出し、クライミングをやり始めてから忘れかけていた藪山魂が再燃、不動岳北東尾根に行くことにしました。



北ア明神岳から南ア不動岳へ計画変更したのが3日前。
しかも3日まで仕事だったはずの予定が何とか1日で目処が付き、
慌てて地図を眺めたり計画したりと慌ただしく2日早朝出発しました。
自宅を出てから1時間程で高度計とコンパスを忘れたことに気付き、急いで取りに戻り再出発。
1時間半程ロスしてしまい、焦っていた為か道を間違えて何故か栗代林道へ・・・
まあ、もうゆっくり行けばいいさと開き直り、寸又左岸林道ゲートから出発します。



林道脇のあちらこちらにヤマブキが咲いていました。



この寸又左岸林道は一般車両通行止めの林道で、今ではほとんど使われていない林道ですが、
いやはや何とも綺麗な林道です。畑薙の林道よりも全然綺麗ですね。
ただ難点はゲートから1時間程緩やかな登りで、重荷を背負っての自転車走行はしんどいの一言!
嫁からは「自転車を押す為に山に来た訳じゃない!」とお怒りの声が・・・



何とか嫁をなだめて、自分でも「林道をこんなに歩くんだったら明神岳の方が良かったかも・・・」
と思い始めていたら、日向林道の分岐が。ここからようやく下り始め自転車の効果が発揮できました。



林道から眺める深南部の山々の素晴らしい事!左から黒法師岳、丸盆岳、鎌崩、不動岳です。



日向林道は左岸林道と一転して落石が多く走りにくい!寸又橋から徐々に登り坂になり、
自転車を押して歩くことにうんざりしてしまったので、ここで自転車を放置し歩くことにしました。
目の前に聳え立つ不動岳、そして今回登るヒコーキ平の北東尾根を眺めます。
右には深南部の山々の中でも滅多に人が入らない合地山も見えました。



無想の吊り橋を過ぎてまだまだ先に足を進ませます。
無想の吊り橋はテレビで日本一怖い吊り橋と放映されてから有名になり、訪れる人が多いようです。
この日も数人の若者が訪れていました。
無想の吊り橋への分岐から日向林道はどんどん荒れ、道も抜けている箇所も現れます。



最後の小屋が見えてきてあともう少し!でも良くここまで林道を造ったものだと驚いてしまいます。
しかも今では全く使われていないのですから・・・全く無駄なものを作ったものだと憤りを感じますね。



林道は徐々に林道ではなくなり、ザレ場のトラバースになります。
落ちたら100メートル下の逆河内に落ちてしまうので緊張しました。
と言っても落ちる気はしませんでしたが。



北東尾根の末端に辿り着き、ここで嫁と相談します。
最初の計画ではヒコーキ平で幕営する予定でしたが、目の前の急登で始まる尾根を眺めて
考えてしまいました。
今回は縦走ではなくピストンなので、わざわざ重荷を担いで登る必要はないんじゃないかと・・・
と言うことで林道脇
にテントを張り、尾根末端までの下降、取り付き場所、
水汲みに下見に行くことにしました。



何とか沢筋を降ることが出来、逆河内を目にすると、思ったよりもちょっと水量が多い!
嫁は徒渉したくないと言い出し、どうしようかと考えてしまいました。
以前はこの場所に吊り橋があったとのことから、周辺を探してみると・・・
ありました!無残な姿をした吊り橋の残骸が。
明日はこの場所から尾根に取り付くことにして、テントでコーヒーでも飲むことにしました。



テン場でゆっくりまったりとし、深南部の秘境、合地山を眺めながらコーヒーを飲むのは格別。
そして最高の天気。
北アではこの連休中、会の仲間は雪と戯れ奮闘しているはず。
みんなどうしているかな~と思いながら、この深南部は初夏の雰囲気を漂わせています。



今宵のテン場です。
水はたらふくあり、困ることはありません。
もしこの水をヒコーキ平にあげてたらヘロヘロのクタクタでしょう~
ゆっくりとした時間を過ごし、日暮と共に就寝・・・

つづく・・・