水窪 黒沢山(2122.8m) 

2012年11月24・25日 水窪 黒沢山(2122.8m)
                                  K部 T坂 小I (文)H男
 
計画では、不動岳を経て黒沢山に縦走登山する予定であったが、天候が悪く、一日短縮、二日間で黒沢山だけにした。
▲24日、静岡を出発する朝5時ころは小雨、次第に回復。2年ぶりの水窪は静かで晩秋そのものだった。奈良代林道終点ゲートに9時、駐車、黒沢山を目指した。過去にも来ているので山の様子はわかっていたが何件も遭難事故を出しているこの山は前山のシャウヅという変わった名前のところまでは普通の山である。そこからがたいへん。正に深南部。道や人間の踏み後はない。案内書には「ベテランでない人は入山はダメ」と書いてある。私はベテランか。でも同行者がベテランなので許される。山頂までは笹と倒木の連続、すべて鹿の道をお借りする。そう、鹿の楽園への侵入だ。
 
▲10時55分シャウヅ山通過。地図とコンパスを頼りにゆっくりと歩を進めた。回り道をするので普通の2倍は時間がかかる。笹が深いところ浅いところ、越えられない倒木は大回り。展望の利く1780mコルの手前で大休止。今回の予定だった不動岳、六呂場山からの縦走尾根をうらめしそうに眺めた。単独行の登山者2名が私たちを追い抜いていった。強そうな二人はすぐに視界から消えた。
 
▲いよいよ黒沢山最後の登りは深い笹と数々の倒木に悩まされ、しかも急登で疲れきった。 
 
▲頂上着15時25分。眼下に長野県旧南信濃村が見える。
陽は傾き、もう冷え込んでくる時間なのでテン場探し。少し下がったところに決めた。夕食に掛かったが、驚いたことにK部さんが500のビールを3本持ち上げていた。雪で冷やした。好きな人間にとってはこれほどのご馳走はない。ありがたくゆっくりと味わって飲んだ。他のアルコールもありテントの中はジョークの応酬で楽しい。静かな夜は、月夜で明るい。すぐ近くで鹿の声が長い間聞こえた。「俺の域に入っているのは誰だ」と。
 
▲25日、2000mの朝はボトルの水も凍った。地面に突き刺したストックも容易に抜けない。8時20分テント発。少しルートを変え、下山。行きと帰りでは同じところは踏めないというこの山、そのとおりだった。
 
▲1810m地点すぎでは薮の中のオアシス、広い鹿の演舞場があった。天気はいいしあまりにいいところなので時間を費やした。スムーズな下山でシャウヅ山まで道なき徘徊を楽しむことが出来た。シャウヅ山11時20分着。