南アルプス深南部・不動岳北東尾根(ヒコーキ平尾根)その②

不動岳北東尾根(ヒコーキ平尾根)



昨晩は鹿が近づいてきた物音や落石の音で、あまり寝れずに朝を迎えてしまいました。
朝飯を食べてコーヒーを飲んでいざ出発!
昨日下見した取り付き点から徒渉しなくてはなりません。
まだ肌寒いこの朝一から水の中に素足を浸けなければならないとは・・・
嫁と2人で「え~い、やっ!!」と掛け声を掛けて渡りましたが、
やっぱり水は冷たく足が痺れてしまいました。



沢からの最初の取り付きの急登です。急登というか壁ですね~浮き石に注意しながら登りました。



急登は最初の200メートルで徐々になだらかになりますが、今日は体調が優れない・・・
お腹が下痢気味で少し歩いただけでクラクラしてしまいます。
仕事の疲れか、睡眠不足か原因は不明ですが、重荷であったらとてもじゃないですが登れなかったでしょう。
400メートルの急登を登りきれば待望のヒコーキ平に到着。
地図で見ても平坦なのが分かりますが、本当に平らでした。
ヒコーキ平の由来は地元の人達が飛行機が離発着できるほど広い尾根と言うことだそうです。



道などある訳もないので、適当な所を歩きます。この雰囲気が深南部ぽくって良いですね~



樹林帯の藪漕ぎから笹藪になり、獣道を追いながら笹を掻き分けていくと・・・
突然赤い肉片が目の前に!!なんと鹿の死体でした。
いきなりだったので「キェ~!!」と叫び声を上げてしまいました。
ここは深南部でも鹿が多い場所。鹿の死骸や骨が多く散乱していました。
鹿の立派な角もありましたが、角を集める趣味はないので置いてきました。



山頂に近づくにつれ立ち枯れが目立ち、素晴らしい雰囲気に心躍ります。



山頂直下で景色が広がり南アルプスの素晴らしい景色が目に飛び込んできます。
手前に合地山、左から中ノ尾根山、鶏冠山、池口岳、光岳、イザルガ岳、
まだ白く雪を纏った聖岳に上河内岳・・・本当に素晴らしい!!!
この景色を見れただけでもこの場所に来て良かった!
言い表すことの出来ない程、感動に浸ってしまいました。



山頂には誰かいるかと思いきや誰もおらず貸し切りの山頂を堪能できました。



暖かい日差しが体を照らし、心地よい風が体を通り抜け、最高の景色に満足、満足!
これ以上ない至福の時間を過ごすことが出来ました。本当に山って良いな~と思いますね。



最高の景色を堪能し、さていよいよこれからが本番の下山です。
獣道を利用したり、雪がある所では自分達のトレースを探しながら下山します。
自分達はピストンだったのでコースサインを付けさせてもらいました。
これからこの尾根を歩かれる方には目障りかもしれませんが、お許し下さい。



沢床に近づくにつれ急坂になり登るときは良いですが、下るのは危険と判断し
懸垂下降2ピッチで降りることにしました。
簡易ハーネスに半マストで降りましたが、簡易ハーネスのシュリンゲって体に食い込んでいたいですね~



そして最後の徒渉!朝と違って日差しも強く気持ち良いだろうと水に足を突っ込むと・・・
最初は気持ち良かったですが、徐々に痺れだし・・・やっぱり水は冷たかったです。
嫁に「写真を撮るからそこで止まって笑顔を下さ~い!」
と言ったら厳しい顔で笑顔で答えてくれました。



沢のガレ場を登りきれば林道に出て終了~予定通りの登り5時間下り3時間半でした。



テン場に戻って、ゆっくりしようかと思いましたがまだ時間も早い為テン場を移すことにしました。
なるべく平らな所へ・・・結局、無想の吊り橋付近まで戻り今宵のテン場としました。
時間もあるので興味がてら無想の吊り橋を見に行きました。
この吊り橋・・・板が抜けている所もあり、支柱は腐りもう渡ることも難しいように見えます。
10メートルほど渡ってみましたが、渡りきっても意味がないので止めました。
吊り橋を渡った尾根が不動岳東尾根です。左の沢は白沢と呼ばれているようです。



テン場に戻って昨日と同じくコーヒーを飲んでまったり・・・
深南部通しか知らないであろう諸沢山を眺めながら、諸沢山と合地山を繋げてみたいなどと
考えながら日暮と共に就寝・・・

つづく・・・