八ヶ岳の冬季アルパインやアイスも、そろそろ終盤の3月後半。
お彼岸の3連休は、1泊2日でリュウと阿弥陀の北西稜へ行ってきた。
北西稜は、冬の八ヶ岳の中でも難易度が高いとされ、尾根に取り付くまでは、ルーファイとラッセルを覚悟しなくてはならないルートだ。連休とはいえ「トレースは無いと思ったほうが良いよー」と聞いていたので、初日は北西稜の取付きまでの偵察&トレース作りに当て、2日目は本チャンアタックという作戦を立てたが・・・
さて、どうなることでしょう?
アイスをやりに行く時間も気力も無くなってしまったので、もうここでやることと言ったら、やっぱり飲むことでしょう!
予定通り、摩利支天大滝のルンゼから入り、阿弥陀の北西稜を目指しました・・・
「通行料取らないとな~」とリュウとしゃべりつつ、我々もその後に続く。
しかし、ガスガス&風びゅんびゅんで阿弥陀の姿は見えず・・・
左右ともスパッと切れ落ちた北西稜のリッジが遂に姿を現した。
先行パーティーがその第1岩壁に取り付いている間に、ゆっくり登攀準備をしていると・・・
キーにもガスが切れ始め、待望の日差しが!
いつも忘れ物が多い私なんですが、今日はリュウがATCを忘れてきてしまったとの事・・・おいおい。
「終了点に着いたら半マストでビレイお願いします。」とリュウが私に忠告し、第1岩壁の基部からの1P目、私リードでクライムオン。
草付き交じりのルンゼを、クォークのピックを効かせながら直上し、1P目の終了点へ。
いや~ゾクッとするこの高度感、自分は今とんでもない所にいるって事を改めて実感。
「いや~ぶっ立ってるし~、これ本当に登れるのオ~??」
核心の3P目を前に、余裕顔?のリュウをパチリ。
その核心の3P目、リュウがリードで登り始めた・・・
が、事もあろうにロープがキンクして、立ち往生するトラブル発生!
集中していたリュウには申し訳なかったが、一旦セルフビレイしてもらって、絡まったロープをほぐす。
「リュウがATCを忘れたばっかりに(半マストでビレイしたから)ロープがキンクしたんだー」と言い訳したかったが、ビレイヤーは私だから「ゴメ~ン」と謝る。
その核心のクラックは、想像以上にきつかったー(写真はフォローで登る、わたくし)。
リュウにどうやって登ったのか?を聞いたら、静岡労山お得意の「A0」だとの事。有効なホールドは見つからないし、仕方なくクラックにジャミングするも、グローブがズルズルと脱げてくる始末。そして、腕は既にパンパン・・・リュウにじりじりと引っ張り上げてもらって、何とかこの核心を越えました。
足はアイゼン&手はグローブつけたままフリーで登ろうなんて、とてもじゃないが今の私じゃ、ココは行ける気がしない。
ゼーゼーハーハー、核心の終了点に到着したのは束の間、次の4P目は私リード。
5P目はリュウがリード。ちょっといやらしいリッジ越えると、摩利支天と阿弥陀のピークがようやく見えてきた。
最後の6P目私リード。無事、摩利支天のピークに出て完登!
登攀中は、ずっと冷たい北西風に当たっていたが、稜線上はもうポカポカ陽気。日差しはもう春ですね~。
昼休憩の後、ロープと登攀具を片づけて、阿弥陀のピークへ。
やっぱりピークで終わるのって、気持ちが良いですね。
雪崩が心配される中岳沢ですが、雪は少な目なので全く問題なし。
ここは本当にロケーションの良い山小屋です。
改めて、あんな危ないところによく登ったものだと、阿弥陀の北西稜を眺めつつBCに戻り、17時前には無事、美濃戸口まで下山しました。
今冬の八ヶ岳は、アイスにバリエーションルートと、これまでに無く楽しめたシーズンだったと思います。北西稜をやってしまうと、次の目標をどうしようか?悩んでしまいますが、これからの残雪期のシーズンは、更なるスケールの大きい山へ是非行ってみたいですね?
by もりっしー