太刀岡山(たちおかやま)。甲府市の北西に位置する標高1322m、日本武尊が山頂に太刀を残したとの伝説が名前の由来とも言われています。6月の月末クライミングはその太刀岡山の山頂西側にある「太刀岡山左岩陵」。9ピッチのマルチピッチルートを登りました。
(登山口駐車場から目の前にある岩の尾根を登ります)
今回のメンバー:先行パーティーはミッチーさん、アリスさん、ユータさん。2組目はトシゾーさん、ノミズさん、私(8束)。3組目はモリッシーさん、タッサン、ワキーハさんです。
このルートの前半3ピッチはクラックルート。ここ最近、フェイスのルートばかり取りついていた私はクラックを登るのは半年ぶり。久しぶりだけどまあなんとかなるでしょう、という根拠のない自信はこの後粉々に砕け散ることになります。まあ、予想はしていましたけど。
1ピッチ目、ジメジメした森の中のヌメヌメしたとりつきをなんとか登りきり小さなテラスに立つとここからがクラック本番。出だしにして今日の核心です。
(先行パーティーのユータさんと、2組目のリードをするトシゾーさん)
さて、私の番になりました。岩の隙間におもむろに手足をねじ込んでみます。ん?ジャミングってこんな感じ?足がイタイヨー。どうやって登るんだっけ?よくわからないまま身体を上げていく。そうか、ちゃんと手を決めて足を上げないと進めないよね、でも次の足が踏み出せない。手が決まってないからかな。手を決めなおして、いけるかな?足をあげてみようか。よいしょ、ってあれ?手が外れて体が壁から剝がれちゃうよ。えー、何で―、助けてー、テンションしますぅー・・・・・。
こんな調子で漸くリズムが掴めたのは最後の2手ぐらい。決まらない手を無理やり岩の割れ目にねじ込み、天からのロープの助けもありなんとかトップアウト。あーあ、核心の1ピッチ目は手も足も心もばらばらなまま終わってしまいました。
(ジャミングがよく思い出せないまま1ピッチ目が終わる私)
気を取り直して2ピッチ目、これまたクラックルートですが、下部は手も足も決め易くて上部には持ちやすいホールドがたくさんあります。ここは快適に登ることができました。
(2ピッチ目を登るユータさん)
続いて3ピッチ目、短いクラックを登り切った後にチムニーがあります。先行のアリスさん、ユータさんは苦戦しながらも突破。ここは私もクリアしたかったのですが。チムニーの中に入り込みもぞもぞ、もぞもぞ、体勢は良さそうだけど身体があがりません。数回トライしてみましたが、体力切れと時間切れ。結局A0で登りました。
4ピッチ目、この先は森を抜けてガラリと景色が変わり岩陵帯に入ります。ここからは比較的優しいフェイスのルート。前半のクラックのダメージで少々凹んでいますが、楽しんで登りましょう。慣れないリッジの狭さに少々ビクついていますがクライミングは快適。下を見ると田園風景が広がりここが生活圏から近い岩場であることを感じさせます。
(リッジの上でピースサインのアリスさん)
(途中2Pはユータさんがリード、セカンドで登るミッチーさん)
(持前のガッツでビレイポイントに到着するノミズさん)
(8ピッチ目終了点まであと少し)
(チームモリッシー、ビレイポイントに到着するワキーハさんと登攀中のタッサン)
8ピッチ目で連続したリッジは終了。小さな広場に到着すると、先行組のアリスさんとユータさんが9ピッチ目のカニのハサミ岩に取りついていました。もういい時間だし私達はここで終わりかなと思っていたら「じゃあ最後は8束さんリードでノミズさんとふたりで登ってね」とトシゾーさん。え、ここ登るんですか?しかも私がリードするの!?(冷汗)
(8ピッチ目終了点に全員到着するチームトシゾーをハサミ岩の上から撮影 byユータさん)
9ピッチ目、このルートの最後のとんがり、ハサミ岩を登ります。下で見守るみなさんの期待と不安が背中に刺さるのは気のせいでしょうか。ボルトが2つの短いルートですが、1ピン目までの距離が遠く緊張します。2ピン目の手前で少し迷いましたが無事登りきることができました。この後ノミズさんも順調に登り二人そろってフィニッシュ。
(ハサミ岩を登るノミズさんと私)
(ハサミ岩の上から撮影)
そうこうしている間にモリッシーさん率いる、タッサン、ワキーハさんチームも無事到着。この後タッサンが9ピッチ目をトップロープで登りこの日のクライミングを締めくくりました。
(9ピッチ目を登りきったタッサン)
(最後は恒例のチームフォト)
一般登山道を下り駐車場に戻ると16時、一日がかりのクライミングとなりました。
(駐車場へ戻るアリスさんと私、二人ともおつかれちゃん)
今回も長時間ビレイをしてくれたトシゾーさん、モリッシーさん、家族レジャーの合間に駆け付けてクライミングの技術を熱血指導してくれたミッチーさん、どうもありがとうございました。一緒に登ってくれたノミズさん、新人チームのみなさま、またがんばりましょう。 ―Fin-