北岳バットレス・第4尾根主稜

2022年 7月 1日~ 2日
北岳の玄関口、広河原への登山バスも運行が始まり、いよいよ南アルプス北部も夏山シーズンイン!
そしてナント!!例年より1ヶ月も早く梅雨が明けてしまって、天気も晴れて山へ行くには又とないチャンス!?
・・・という事で、久しぶりのリュウ&モリッシーの同期コンビで「北岳バットレス・4尾根主稜」へ行ってきました。


広河原は実に5年ぶり?日射しはもう真夏そのもの。
一見良く晴れて山日和にも見えますが、今日明日とも天気は不安定で、午後以降は雷雨になるとの予報でした。


登山道の「大樺沢ルート」は現在通行止めとなっており、北岳へ至るルートは、白根御池小屋を経由する「草すべりコース」のみとなっています。


大樺沢は、二俣の下あたりから雪渓が現れますが、c沢の出合いまでノーアイゼンで歩いて行けました。
暑かったこの1週間で融雪も大夫進んだとは思いますが、それでも今年は雪が多めなのかな?


初日は、北岳バットレスの取付きとなる「dガリー大滝」の下見で終了。


そして登攀は、日が変わって2日目の朝・・・
まだ薄暗い中、踏み跡頼りにc沢とd沢の尾根筋をもくもくと登って、再び「dガリー大滝」の基部へ。
その基部には誰もおらずで一番乗り、ラッキー!


振り返れば、鳳凰三山・観音岳のピークからご来光が!


基部にある雪渓は、やはりシュルンドがあって要注意!崩れ落ちたら数m墜落です。


雪渓から岩場へ飛び移り、「dガリー大滝」からクライムオン!
先ずはリュウがリード。
しかし、ホールド&スタンスは昨夜の雨で濡れていて、怖いのなんの・・・


「思ったよりも悪かった~」と苦笑い?するリュウをパチリ。
ほぼ60mロープ一杯延ばしてくれたおかげで、横断バンドの取付き付近まで1ピッチで来れました。
その横断バンドはコンテで取付くも、2mくらい降りるギャップがあって、そこの通過も悪い事!


横断バンドをcガリー側へトラバースし、更には雪渓が付いたcガリーの左岸側を、これまたコンテで登って行きました。
そして、取付きが雪渓で埋もれていたヒドンスラブも、プロテクションが取れないので、そのままコンテで登り・・・


でもってそこを過ぎれば、4尾根テラスに無事到着。
4尾根って、ここに至るまでが核心なんですよね~?
コンテで来たおかげで、何とか「dガリー大滝」の基部から約1時間半で取付く事ができました。


私達パーティーの前にも後にも誰もおらずで、4尾根は貸切状態!
よって自分達のペースで、気持ち良く登っていけるっつうのが良いですね~!
その1ピッチ目は、リュウがリード。
リュウは、60mロープをギリギリまで延ばして、本来の2ピッチ目の半分あたりまで登って行きました。


2ピッチ目はモリッシーがリード。
爽快&快適な「白い岩のクラック」をグイグイ登って、ここも50mくらい延ばして「ピラミッドフェースの頭」まで到達しました。


3ピッチ目はリュウがリード。
三角形の難しいスラブがありますが、そこを越えて一気に「マッチ箱」の頭まで延ばしました。


そのマッチ箱のリッジを通過する私を、リュウがパチリ。左右切れ落ちたリッジの通過は、怖いったらありゃしない!


マッチ箱の頭に到着すれば、目の前には「城塞ハング」と「枯れの木テラス」が直ぐそこに。
ここまでたったの3ピッチ。ありゃ、もう終わっちゃいそう?


マッチ箱の頭から、20m程懸垂下降し・・・


4ピッチ目のスラブはモリッシーがリード。
ここも60mロープを目いっぱい出して「枯れの木テラス」まで延ばすことができました。


5ピッチ目はリュウがリード。
城塞ハング下でピッチを切るか?と思いきや、そのまま城塞ハングのチムニーも繋げて無難に?登って行きました。


ここから見る「枯れの木テラス」は、とても威圧的。
2010年に大崩落する前を私は知りませんが、スッパと切れ落ちたリッジの状態となっています。


そして、この亀裂が何とも嫌らしい事!マッチ箱も、いつかはcガリー側へ崩壊しそうな感じです。


城塞ハングのチムニーも、意外とホールド&スタンスが無く躊躇しますが、無事登ってトップアウト。
ナント!時刻はまだ朝の8時半!
目いっぱいロープを延ばしたおかげで4尾根を5ピッチ(懸垂含めて6ピッチ)、4尾根テラスから約2時間ちょっとでトップアウトできました。


登攀具&ロープを仕舞って、稜線へと向かう踏み跡をテクテク歩いて行くと、そこにはお花畑が一面に!


そして、北岳山頂へ。クライミング教室の同期生、かつては一緒にアルパインや沢へと一緒に行っていたリュウと来られて、感無量!


で、せっかく北岳に”来ただけ”では勿体ない!・・・という事で、この時期にしか咲かない「キタダケソウ」を探してみる事に。
しかし「キタダケソウ」は、北岳の何処にでも咲いている訳ではなく、山頂にいらっしゃった方が言うには、「トラバース道に咲いている」のだとか・・・?

・・・トラバース道って、どこ?


その「トラバース道」と言うのは、「八本歯~北岳山荘」をトラバースしている登山道の事を指すのでした。


「ミヤマキンバイ」の群生がまた見事!


そして、そこにはひっそりと「ハクサンイチゲ」に似た「キタダケソウ」が咲いておりました。


「ハクサンイチゲ」はコチラ。葉っぱを見れば、違いは一目瞭然ですね!


クラックの中に咲くパステルブルーの「ミヤマムラサキ」が、また可愛らしい事!


こちらは、紫が鮮やかな「ミヤマオダマキ」。


「ハクサンイチゲ」は至る所に!


「八本歯のコル」から見た北岳バットレス。
「あんな危ない所を登ってきたのか~?」と、我ながら感心してしまいます。


「八本歯のコル」から大樺沢の下りは、一度もアイゼンを付けずに下りました。
時刻は正午を過ぎたばかりですが、二俣あたりから早くも雨が降り出し、ゴロゴロ・ドド~ンと雷が!!

広河原で14時発のバスに乗れるか?乗れないか?のギリギリの時刻でしたが、結局14時のバスの乗車時刻には間に合わず、14時15分に広河原へ。
何とか乗合タクシーが15時頃やって来て、16時前には芦安駐車場に戻ることができました。

下山時こそ雨には降られましたが、蓋を開けてみれば良いタイミングで「北岳バットレス」を登れ、ついでに「キタダケソウ」も見れて良い山行だったと思います。
今回、一緒に登ったリュウは二児のオヤジとなり、なかなか一緒に山やクライミングへと行く機会も少なくなっておりますが、都合が合えば、また一緒に行けたら良いですね!
会の皆さんも是非、アルパインクライミングへ行きましょう! By モリッシー