安倍奥・コンヤ沢遡行

2009年8月30日

8月の最後の日曜日に地元の沢「コンヤ沢」に行ってきました。
コンヤ沢は6月に行った「ホーキ沢」の本流で、地図で見てもゴルジュであろう事が分かります。
ホーキ沢は滝の連瀑の沢でしたが、本流のコンヤ沢はどうなっているのだろう・・・
ゴルジュ好きのGさんたっての希望で、Tさんと自分、いつもの3人で行ってきました。



コンヤ沢の記録はほとんど無し!昔は岳人やガイドブックに掲載されたこともあったようですが、
今では廃刊となり手に入りません。
ホーキ沢の時と同じように堰堤を越えて入渓します。



堰堤からしばらくで漆黒のゴルジュに突入します。
あの暗闇の奥がどうなっているのかがおどろおどろしくて怖いですね~



ホーキ沢出合のF1です。ここまでは6月に来たので順調。
しかしこのF1も見上げると良く登ったな~と思っちゃいますね。



しばらくは落ち着いた渓相ですが、薄暗いのが気味悪い・・・
天気が良く日差しがあり、多少明るいのが助かります。



そして深い淵が現れました!恐る恐る入ってみると何とか胸までの深さで一安心。



淵を越えてまた淵が。以前はもっと深かったとのことなので、それはそれで恐ろしい!!



ゴルジュ好きのGさんは果敢に喜んで泳ぎまくります。



入渓してから1時間ちょっとで巨大な堰堤が現れました。
堰堤左から巻いて先に進みます。



堰堤を越えても深い淵が現れます。
さすがゴルジュの沢!深い淵が多いですね~



Gさんが流れに逆らい果敢に攻めます!
でも浮力があるザックを背負ってると流されちゃうんですよね~



第一の核心部に到着。3メートルほどの小滝を越そうと足が付かない釜を泳ぎますが、
流されてしまい近づけない・・・なんとかGさんが取り付くことが出来、越すことが出来ました。
自分とTさんは右から巻いてみると、目の前に15m程の大滝が!
Gさんに近づいて越えれるか見てもらいましたが、最後が難しそう・・・と今日中に下山しなくては
ならないので、あっさりと諦め左岸を巻いて懸垂下降で沢床に下りました。



またまた大滝が!高さは10m程でホールドもありそうなので何とか登れそうと思いましたが、
ここも深い釜で近づけません。
ショルダーで壁に取り付けば何とかなるかもしれませんが、下の人が溺れる可能性大・・・
と言うことで右の壁を登ることにしました。



見た目は簡単そうに見えたので、Gさんが新しいハンマーとハーケンを買ったとのことから
初リードしてもらうことにしました。
下から見てるとスタンス
があり簡単そうに見えたのですが、自分が取り付いてみると
何と岩が脆いことか!!!掴んだホールドがボロボロと崩れていきます。
良くこんな所をリードで登ったなと感心しました。と同時に自分の判断が間違っていたことに反省・・・
Gさんが落ちたら怪我は免れなかったでしょう。



核心を越えて一安心。ゴルジュも開けてきて日が沢床に差します。



しかし!!!沢を左折してみると愕然としました。
圧倒的な存在感の12mの大滝です。どう見ても登れないと判断&この水量に圧倒されて
巻くことにしました。



右岸を巻きますが、これもまた厳しい!!
所々崩れ落ちており50m程登らなくてはなりませんでした。
そして20m2ピッチで懸垂下降して沢に戻ります。



大滝を過ぎて、この先まだ大滝が現れるのだろうか・・・ゴルジュで登れない滝が現れたら・・・
不安になり、どうしても足早になってしまいました。



もう何回淵を泳いだのだろう・・・体が濡れれば濡れた分だけ疲労が増していきます。



しかしゴルジュ帯が終わりを告げ、美しい淵に感動!!
こんな山奥にこんな美しい景色が待っていたとは!苦しい思いをした分だけ感動もひとしおでした。



岩と岩の間に一株だけ「ホトトギス」が咲いていました。



ゴルジュ帯が終わると何故か広い河原が現れました。
こう言うのも驚きです。



河原歩きからしばらくして両岸からの土砂崩れ・・・
この土砂崩れが原因でコンヤ沢の深い淵が埋もれてしまったのではないのでしょうか。
当時のコンヤ沢を遡行してみたかったですね。
そして、ビックリするほどの倒木が沢を埋め尽くしていました。



徐々に傾斜も強くなっていき、水流も徐々に弱くなり源流チックになっていくと、
遂に水が無くなりました。この場所がコンヤ沢の源頭部です。
さらにこの先詰めると井川勘行峰線の林道に出ます。
最後が林道って言うのも・・・



水が無くなった地点から獣道を使わせてもらい尾根を目指して右上します。
牛首峠から新田を繋ぐ登山道を下山して、途中から孫佐島に下りる尾根を藪を漕ぎながら
下山することにしました。



最後の藪漕ぎがなかなかしんどい!!次々と現れる蜘蛛の巣に引っかかりながら、笹藪を漕ぎ、
防獣ネットをくぐり、ズルズルの急斜面を転げるように下りながら、何とか出発地点のコンヤ沢に
下り立ちました。
時間も予定通りの日暮れ前に到着することが出来、ホッと一安心。
二日酔いで参加したTさんは息も絶え絶え、今日はかなりしんどかったようです。

安倍奥の沢は色々な渓相で、どの沢も楽しませてくれます。
今回はお盆前から静岡市内ではまとまった雨がなかった為、水量も少ない方だったと思います。
コンヤ沢はゴルジュ帯なので水量が多いと恐らく遡行も今回よりも難しくなると思います。
沢にはゴミ一つ落ちておらず、 また人跡も皆無でした。
下山の藪漕ぎでも腕には無数の引っ掻き傷や、背中と腕にはいつ刺されたのか分からない虫刺されの跡が・・・
それでも沢登りや藪漕ぎは素晴らしい!!!かな?