のはずが、大同心雲稜ルート

9月23・24日で大同心雲稜に行ってきました。

 9月には3連休があった。秋の3連休だったらみんなどこかに行きたいだろうと考えて、山行企画会議ではここに会山行を設定しなかった。そのかわり、1週間後に鳳凰三山を設定したのだった。で、3連休はどこに行こうか、などと考えていたら、あああああー!これは金曜日仕事を休みにすれば4連休になる!秋の4連休、秋晴れの青い空、山腹一面の紅葉、池に映る剣、そうだ裏剣に行こう!僕はほくそ笑んだ。
 しかしだ、なんだこの天気予報というか天気というか…空は秋晴れっていうのをすっかり忘れてしまっているらしい。ころころ変わる天気予報と実際の天気についに負けて、練りに練った剣北方稜線・裏剣計画は水に流れてしまい、代わりに大同心雲稜ルートに行きました。
 実を言うと、大同心にはコンプレックスがある。大同心と小同心ではどう考えたって、大が上だ。そもそもここをはっきりと認識したのは、まだ労山に入って間もないころ、裏同心ルンゼ終了後大同心基部にあがり大同心稜を下る。この時、大同心の壁を見上げるわけだが、まぁその壁に威圧されて「こんなところ登れんなぁ」とプリントされてしまったのだった。ローレンツのあのハイイロガンは初めて見たものを自分の母親だと思い込む刷り込みと同じように!だから、大同心雲稜に行き先を決めてから、ずーっと登れるのかいなという不安があったのだった。
 どうも天気は思うようにならないが、土曜日だけはもちそうだということで出かけたのだった。今回は、剣に行こうと金曜日をだいぶ前から休みにしていたYJMさんと一緒だ。考えてみれば、小同心クラック・バットレス4尾根・大同心雲稜と3連発。
 前日の雨で、朝一番の壁は十分濡れていた。頭に時折しずくが落ちてくる。午前中日陰で結構寒かった。初めてインナーダウンを着て登った。手がかじかんできて感覚がなくなることがあった。草付きの草は濡れ、土は泥だった。まったく、気持ち良いクライミングのはずが、コンディションが悪くて神経を使いまくって疲れた。でも、全体としては順調なクライミングで11時前には抜けてしまった。奇数ピッチを私が、偶数ピッチをYJMさんがリードした。

▲大同心の頭から小同心の頭を見ると、同じころスタートしたパーティがザイルを片付けていた。こうしてみると、小同心も結構立っている。横岳山頂には、一般道の登山者が見えた。

最後に、
1P リングボルトとぺツルのアンカーが取付きの目印。壁を見ると、ぺツルのアンカーが見えてルートはすぐにわかる。溶岩に固められた石が突き出た八ヶ岳独特のホールドは、見た目以上にしっかりしている。ハング付近、ぺツルのアンカーがこれでもかと出てくる。思い切って、登ることができる。越えるとすぐに終了点が見えるが、さらに右上数メートルでぺツルの終了点があるので、ここまで伸ばす。5.9くらいの30m。

2P 終了点上にリングボルトが見える。その方向に進むと、次々にランニングが現れる。岩の凹角状が出てくる。曲がったピトンや伸びたリングから何度もテンションがかかったことがわかる。無理せずにA0でぬけるか、右から一手か二手頑張って割れ目に足が止まれば抜けられる。スメアも効きにくく嫌なところ。ここ以外は凡庸なピッチ。ぺツルのアンカーの支点が出てくる。20m。Ⅳ級とされている。

3P もろい。難しさはないが、危険なので慎重に。外れそうな岩、滑る草付き。神経質なクライミングになる。ピナクルの後ろにボルト2本の終了点。20m、Ⅴ級とされている。
 

4P ハーケンに導かれていくと右に導かれる。ぺツルのアンカーが出てきてバンドのトラバースが始まる。バンドはしっかりしていて簡単。ぺツルとリングの終了点が出てくる。40m。
Ⅳ級とされている。
 
5P 垂壁。薄カブリの箇所が長い。ルートは明瞭。他のピッチに比べると手が疲れる。ただ難しくはないので疲れたら途中で休んで落ち着いてハングを越えていこう。今回濡れた壁で突き出た小石のフットに乗ったら、はずれてあせった。1Pがぺツルであったが、こちらはハーケンがベタ打ち。突然ちょこんと大同心の頭に出る。1Pより難しめの5.9。20m

 大同心の頭から大同心ルンゼを下る踏み跡が見える。懸垂25mで大同心ルンゼの広いテラスに降りる。ここから踏み跡を拾って歩いて下る。小同心にわたる踏み跡に合流し、大同心基部に簡単に出て終わり。このルートの下山はとっても速くて簡単です。

▲下山していくと雲稜に取付いているパーティがいた。2P終了点でビレイしている。他パーティを見て、我々もあそこを登ったんだ、と思ってしばらく見入ってしまった。
(写真はYJMさん。トコロ)