鷲頭の岩場・リボルト整備報告

2018年5月12日

風薫る5月。春から少しずつ夏へ向かう新緑が美しい清々しい季節になりました。

以前から興味を持っていたJFA主催のリボルト講習を今回受講して来ました。
リボルト講習とは?昔から登られている岩場の支点、終了点は古いボルトが使われていることが多く、老朽化や壁の中に埋め込まれているボルトが拡張していなかったり浅かったり、錆び付いているものが多いのが実状です。
そう言ったボルトを撤去し、グルーインボルトやケミカルボルトに打ち替えることを目的としリボルト職人を増やし、各の岩場の整備を行おうという目的のもと行われています。
今回整備の対象となった岩場は沼津にある鷲頭山の岩場。
鷲頭の岩場は開拓されたのは1980年代初頭。使われているボルトはオールアンカータイプやカットアンカータイプ。リングボルトやRCCボルトが目立つ昔からの岩場と言った感じです。
「マンボウ5.10a」をグージョンボルトにリボルトされたのをきっかけに、鷲頭の看板エリア「メインウォール」を整備しようという話が持ち上がり、今回リボルト講習と同時にすべてのルートのリボルト整備を行うことになりました。

リボルトしたルート
①最左端ルート左、右
②メイズ
③ETハング
④リフレイン
⑤ETの親
⑥エイリアン
⑦北嶺ダイレクト
⑧ゴウオウバァ
⑨ギブマインドトゥ
⑩ショーガール
⑪コズミックダンサー
⑫ジェット
⑬スーパージェット
終了点は全てラッペルステーションを設置、中間はグルーインボルトにしました。

リボルト講習は4月中旬の土日で行われ、私を含めた3名の方が無事合格。B級職人となりました。
でもリボルト方法の手順が色々ありすぎて、回数を重ねないと忘れてしまいそう。。。
今回は前回リボルト出来なかったルートを整備することにしました。
それにしてもリボルト道具の重いこと・・・ロープは勿論、カムやギア類、そしてバッテリー式ハンマードリルの重いこと!近いはずの鷲頭のアプローチですが汗がダラダラ。。。

 

岩場に到着すると、先行パーティーの方々が。お話しをさせて頂いたらなんと三島労山の皆さんでした。
講習で私達がリボルトしたルートを登られている様子。自分達がリボルトしたルートを登ってくれているのが何故か妙に嬉しくなったり。

 

貧弱だったボルトの「北嶺ダイレクト」もグルーインボルトに打ち替え完了。終了点もラッペルステーションに打ち替え。

 

私達は「エイリアン」のリボルト作業に取り掛かりました。
エイリアンはチームやくたあもにゃあの皆さんが作ったルートです。
下部のハンガーは撤去することに。下部はクラックがあるため、カムで登って欲しいとのこと。

 

エイリアンの核心部はほとんどカットアンカー。しかも深さは20~30mm程度!?
これで登っていたなんてほんと恐ろしすぎます。

 

エイリアンとゴウオウバァから撤去したボルト類。
オールアンカータイプで拡張していないボルトもあったり・・・横向きの荷重なので運良く抜けなかっただけで、真下に抜ける荷重だったらボルトごと抜けていたことでしょう。
リボルトすると、良くこんなボルトで登っていたものだと恐ろしくなります。壁の中に埋め込まれたボルトの状態は見えない為、どうなっているか分かりません。みんなが使っているから大丈夫?と言う訳分からない自分にとって都合の良い解釈をする安全神話はやめましょう。

 

今回取り付けるFIXE社製PLXグルーインボルト。
材質はSUS316ステンレス鋼よりも約6倍の耐腐食性があるとか!?これも1本約1700円!

 

グルーは2液式のものを使用。これも1本約7000円!

 

施工するとこんな感じになります。
ケミカルは硬化すれば半永久的に使用可能だと思いますが、紫外線には弱いのかもしれません。
まあ、自分達が生きている間は多分大丈夫だと思いますが・・・

 

エイリアンの核心部も御覧の通り。以前取り付いたことがありますが、このルートも難しい!

 

終了点から見る景色。鷲頭の良い所はこの景色が見れることかな。

 

海が見えるって、何故か良いんですよね~でもこれから夏に向かって暑くなるので、鷲頭のシーズンでは無くなってしまいますけど。
来シーズン、リニューアルされた鷲頭の岩場に通ってみようかしら!?是非皆さんも綺麗になった鷲頭の岩場に足を運んで下さいませ。


自分で岩場の開拓を行ったこともありますが、それよりもリボルト整備という行為は大変だと思いました。
でもちゃんとした技術を学ぶことが出来たのでとても勉強になりましたし、どう言ったボルトで今まで自分達が登っていたかという恐ろしさも知ることが出来ました。
今回、資材一式はJFA日本フリークライミング協会から支給されましたが、JFAは慈善団体ではありません。
JFAは会員の会費等で資材の購入をされています。岩場を使用する多くの皆さんは是非JFAに加入して貰いたいなー
ロープやハーネス、ヌンチャクにビレイ器等のギア類。クライマーの皆さんはそれらにはお金を掛けるのに、一番肝心なプロテクションとなるボルトに興味を持たないクライマーの多いこと!
ボルトが破断したり抜けたりしたら、いくら良いロープや高価なギア類を身に付けていても意味がありません。
自分の命にも関わるクライミングと言う遊び。遊びで怪我をすることは勿論避けたいはず!?JFAがやっていることは他人事ではなく、回り回って自分の命に関わることだと思います。
私はJFAの回し者ではありませんが、自分の命を守るために会員になっています。
なるべく多くのクライマーの皆さんがJFAに加入されることを願って。
年間3000円!宜しくお願いします。byトシゾー