剱岳チンネ左稜線(馬場島~池ノ谷)①

8月1日~8月3日は、トコロ会長、O澤さんと私(M下)の3人で、「剣岳チンネ左稜線」に行ってきました!

池ノ谷からチンネに取り付く今回のルートは、2年前にチャレンジするも、ルートミス&時間切れで途中撤退したルートであり、 会にとっては2年越しのリベンジがかかった山行なのでした。
そんな山行に「M下さん行ってみる~?」と、トコロ会長からお誘いを受けたのが山行の
1W前。「剱」は行ったことも無かったし、誘われる前までは、一体どんなところなのか?さえも知らなかった。
そもそも、先日のクライミング教室で登った「小同心クラック」の次の本チャンが、いきなり「チンネ」って・・・「ハードル上げすぎじゃ~?」
と、臆病風に吹かれつつも悩んだ末、覚悟決めて「行きます」と返事したのは、お誘い受けたその2日後でした。
さて、一体どうなることでしょう?

山行前日・・・
16時に静岡を出発し、入山口となる富山県の「馬場島荘」に22時頃到着。
さすがに剱登山の有名基地、駐車場はほぼ満車の状態でした。

 野営場にテントを張り、この日は終了。明るい月夜でした。

そして、翌朝・・・

朝7時過ぎ、馬場島の工事車道のゲート近くに車を停め、出発。
朝っぱらから日差しはぎらぎらと照らし、既に暑い。

 工事車道をしばらく歩くと、白萩川の取水口堰堤が見えてきた。堰堤手前に「池の谷」と書かれたルートの入口がありました。

 前回、来た時にはなかった巻き道。はっきり池の谷と書かれていたので、ためらわず入ってしまいました。それがきついきつい巻き道でした。



堰堤だけ巻いて直ぐ河原に降りるかと思いきや、いきなりきつい急登となり、かなり高度を上げてその後はトラバース。


巻き道は、小窓尾根先端部の河原へ通じていました。
新しいトラロープが張られ、草木もしっかり刈り取られていて、危険個所は特にありませんでした。
 危険なところはないけど、楽な道ではありません。いきなりこれかよ、と思ってました。

 小窓尾根に取付く前の渡渉点。「冷て~」と悲鳴上げるトコロ会長。
直ぐ上の雪渓から注がれる雪解け水だから猛烈に冷たい。流されて溺れたりしたら、数分でお陀仏でしょう。
 あまりに冷たいので北アルプスの沢歩きはやるもんじゃない、と思いました。上の廊下とかこんなに冷たいのかなぁ、と思うと行きたい気持ちがなえてしまいます。


 

 「池ノ谷」の石標を越え尾根に取り付くまでは、これまたとんでもない急登であった。
さらにはO澤さん、「体が熱い」と熱中症状を訴えペースダウン、しんどそうだった。

 小窓尾根を越えるのが初日のハイライト。やたらと暑い日、この急な登りは堪えます。

こまめに給水、休憩を挟みながら高度を上げて行き、何とかピラミッド岩のある
標高1,600mの峠に到達。

 峠を越えると、目指す「池ノ谷」がいよいよお出まし!

 踏み跡を探りながら草付をトラバースぎみに降りて行く。



雪渓の取付き点に到着。

 12時半、「池ノ谷」の雪渓に取り付いた。初めて見る剱の風景。
雪渓の上は涼しいだろうと思いきや、正面から生暖かい風が吹き、思ったよりも涼しくない。
というか・・・なんなんだ、この暑さは!
 雪渓はしっかりしていました。二俣まで偵察に行ってきたという方が、雪渓は上までつながっているよ、ということでした。これはすばらしい!情報で、明日のアプローチがぐっと楽になるはずです。ラッキー!っていうところです。

 雪渓に取り付いてから1時間半後、ベースキャンプ(BC)予定地の「二俣」に到着。

ここは、池ノ谷で唯一傾斜が緩やかで、近くに水場もあるキャンプに適した場所です。
 前回は9月下旬でした。もっと雪が少なくて土が出ていた。平らですばらしいテント場を提供してくれたが、今回は雪の下。ガックシ。それで仕方なく下のような工事となったわけです。遅れてきたOZさんは、あのテントサイトをあきらめきれずしばらく周辺を探していました。でも、ないものはない・・・。
 

写真は、土方スタイルで凸凹の雪面を均している場面。あまりに暑いので裸になっちゃいました。

一昨年は雪渓ではなく草付にテントを張ったとの事。
今回はその草付箇所も完全に雪で覆われていて、「雪渓の上に寝るのは想定していなかった」とトコロ会長。
私とO澤さんはマットレスを持っていて雪の上でも大丈夫だったが、トコロ会長は持ってこなかったのだった。

 池ノ谷二俣は、写真の通り「右俣」と「左俣」に分かれ、明日は「左俣」を詰めていくのであります。

 
 

BC近くの水場。


夕飯まで時間があるので、「R10」と呼ばれるコルの取付け点あたりまで、雪渓の下見に行ってきました。

 時々、ブワ~っとガスに覆われたりします。

 夕方、テントの窓から見る、アーベンロートに染まる左俣のV字谷。

明日は、いよいよチンネへ!


続く・・・

 雪の上で寝ることになってしまって眠れなかったわけではないが、冷たかった。前回の場所が雪の下になっている、とまったく考えなかった。夏に雪渓の上で寝るって初めてのことだった。