「キャ〜!」・・・「ギヤ〜!」・・・「イヤ〜!」 ナイロンを裂くような女性たちの悲鳴がこだまするやせ尾根の鉄塔下は、 ヒルチェックに余念のない女性メ ンバーがひと塊になっていた。 ここは一本杉峠への登山口から30分ほど歩いた所だが、それまで足下に数匹のヤマビルの出現は確認して いた。暖冬の影響だろうか? 昨日の雨の影響だろうか? それにしても早い出現にちょっと驚いたが大した事は無 いだろうと歩き続けたのだった。 念のためにヒルチェ ックした時の様子が上記の悲鳴だったのだ。 私にはズボンの裾に1匹へばりついていただけだった ので、ハッカ油をスプレーして追い払った。 比較的私た ちにヒルが少なかったのは、YSDさんがほぼヒルを独り 占めをしてくれたおかげで、 ゲーターを外したら十数 匹も現れたのには驚いた。
今回の行程は一本杉峠への登山口から登り始め峠から天狗岳、 そして夕暮山を経て内匠に下山する周回コー ス。 従って登山口と下山口は全く別の場所になり、 かなりの距離となるので下山口に車を一台デポしてからの出 発となった。
ヤマビル騒動の鉄塔下から約1時間歩 くと一本杉峠に到着するが、直下 は大規模林道の工事中だった。ザレた急勾配を這うように登らされてやっ との事で一本杉峠に到着した。小休止後、 天狗岳に 向かうのだが,これがまた急勾配だったり、危 険な岩 場だったりと気の抜けないルートではあったが、 それはそれなりに楽しかった。
天狗岳山頂は手入れの出来ていない草原の趣きで展望などは全くないし、山頂標は下に落ちている始末、 それを見やすい位置に括り付け昼食としたが、 今回私のお弁当は明石のタコ飯と唐揚げを作った。 まぁまぁ美味 しかったのだがお裾分け出来た人には好評だったじゃないかな?
食事中近くでエンジン音が・・・なんとオフロードバイク が4〜5台山頂まで登って来た。踏み跡程度の登山道があるだけ、 山の遊びは色々有るが山頂付近でオフロードバイク に遭遇したのは初 めての経験だった。
昼食も終わり夕暮山に向かって出発したが、少しのヤブコ ギはあるものの車道を歩いたり山道に入ったりと大し たアップダウンもなく、 快適に歩けるルートにナツメロを口ずさみながらの歩みとなった。 夕暮山からは急坂の下りが続く 、最初の頃は登山道がはっきりと確認出来たが段々と薄くなって、 その後、 ト レースは全く拾えなくなった。紙地図を出して「あっちだ!」「いやこっちだ!」「違うよあそこだよ」三人三様の意見に行 き先が定まら ない。結局YAMAPのルートファィン ディングが一番頼りになる事が確認された。獣よけの網が張り巡らせられて 進退が窮まったときに人間が一人潜れるような穴が 開けられているの を発見、先行者がなんと か開けたのだろうと思われた。 一人づつ潜り抜けたがどうもそれは私用には開けられ ておらず、 通り抜けられそうも無いのだ。 ザックを 下ろして先に通し網の上下を広げてもらいながら 身体の中の空気を全部吐き出し、身を細めてから穴に突入したがやはり引っかかる、身悶えしながら何とか潜り 抜けた時は、酸欠状態で頭がボ〜ッとしていた。 ここを下れば伐採された小高い山の頂 に立て、そこを下れば目的地の白水橋に至るはず。白水橋から下山口の内匠に到着した。今回はサバイバル感満載の山行だったが、 終わってみれば楽しさしか残ってない。 だが、 同じルートでは 二度と行きたくないと思った。だってあの網、 潜れないんだもん。
ITB